塔の上のラプンツェル
ヒットしすぎた次作の陰に隠れがちですが、完成度ではこちらを推したいと思っています。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- ネイサン・グレノ、バイロン・ハワード
- 音楽
- アラン・メンケン
- 製作
- ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ
- 製作国
- アメリカ
- 公開
- 2010年
- 原作
- グリム童話『ラプンツェル』
あらすじ(ネタバレなし)
深い森の中の塔に、18年間ずっと閉じ込められている少女ラプンツェル。彼女の長い金髪には、傷を癒し若さを保つ力がありました。
母と名乗る女ゴーテルは、外の世界は危険だと言い聞かせ、彼女を決して外へ出しません。ラプンツェルは、毎年誕生日の夜に空へ上がる無数の灯りを見ることだけを夢見ていました。
ある日、盗賊のフリン・ライダーが逃走の途中で塔に入り込みます。ラプンツェルは彼を脅して、灯りを見に連れて行かせることにします。初めて塔の外に足をつけた彼女の前に、世界が開けます。
ここが見どころ
ゴーテルという母親像
この映画の悪役は、暴力ではなく愛情の言葉で相手を支配します。「あなたのためを思って」と繰り返し、罪悪感で縛る。子ども向け作品の悪役としては異例に生々しい造形です。
灯籠の場面
無数の灯りが夜空に上がるシークエンス。3DCGアニメーションの表現として、公開当時の到達点でした。物語上も、彼女が18年待った瞬間として最大の山場になっています。
髪の表現
長大な金髪をどう動かすかが技術的な課題で、専用の仕組みが開発されました。単なる技術の誇示ではなく、髪が武器にも道具にも枷にもなるという物語上の機能を持っています。
この映画について:ディズニーが3DCGでミュージカルをやり直した、転換点。
ディズニーが3DCGでミュージカル路線に戻った転換点にあたる作品です。以後の『アナと雪の女王』『モアナと伝説の海』へつながる型が、ここでほぼ完成しています。
内容として優れているのは、悪役を「支配的な親」に設定したことです。魔女は外にいるのではなく、家の中にいて、優しい言葉で縛ってくる。この構造は、おとぎ話の枠を超えて現実的です。
アラン・メンケンの楽曲も良く、とくに塔の中で歌われる一日の過ごし方の曲は、閉じ込められた生活を軽快に見せながら異常さを伝えるという、二重の仕事をしています。
難点を挙げるなら、フリン・ライダー側の掘り下げがやや浅いことです。彼が変わる過程は駆け足で、ラプンツェルの側の密度に比べると薄い。とはいえ、100分という尺を考えれば妥当な配分です。
この作品の良さ
- 悪役を「支配的な親」に設定した構造
- 灯籠の場面の映像的な達成
- 髪の表現が物語上の機能を持っている
- アラン・メンケンの楽曲
当サイトの評価
ディズニーが3DCGでミュージカルをやり直した、転換点。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.1 |
| 映像美 | 4.5 |
| 音楽 | 4.6 |
| 演技 | 4.1 |
| 余韻 | 4.1 |
世間ではどう評価されているか
- 音楽
- アラン・メンケン
- 公開
- 2010 年
- 米アカデミー賞
- 歌曲賞 ノミネート
数字は2026年8月時点で確認できたものです。IMDbのスコアや公開中の作品の興行収入は、その後も変動します。
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの長編50作目にあたる作品です。アカデミー賞では歌曲賞にノミネートされました。
3DCGによるミュージカル路線への転換点となった作品で、以後の『アナと雪の女王』などにつながる流れを作りました。
こんな人におすすめ
- 『アナと雪の女王』が好きだった人
- ディズニーのミュージカル作品が好きな人
- 親子関係を扱った作品に関心がある人
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