永遠の0
ヒット作であると同時に、論争の対象にもなった一本です。両方に触れておきます。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- 山崎貴
- 原作
- 百田尚樹『永遠の0』
- 出演
- 岡田准一、三浦春馬、井上真央、濱田岳、橋爪功
- 製作国
- 日本
- 公開
- 2013年
- 興行収入
- 86.0億円
あらすじ(ネタバレなし)
司法試験に失敗し、進路に迷う青年・佐伯健太郎は、祖母の葬儀をきっかけに、血のつながった祖父が特攻で戦死していたことを知ります。
その祖父・宮部久蔵は、零戦の搭乗員でありながら「必ず生きて帰る」と公言し、臆病者と蔑まれていたといいます。健太郎は姉とともに、当時を知る人々を訪ね歩き始めます。
証言者たちの語る宮部像は、人によってまったく異なっていました。腕は誰よりも立つのに戦わない男、部下を守り抜いた教官、そして最後に特攻を選んだ人物。断片が重なるにつれ、その理由が見えてきます。
ここが見どころ
空戦場面のVFX
山崎貴が得意とする分野です。零戦の挙動、空母への着艦、被弾の描写。日本映画の航空戦としては群を抜いた水準にあります。
証言の積み重ねという構造
現在の取材と過去の回想を交互に見せる形式です。語り手によって人物像が変わるという構成自体は、よく出来ています。
岡田准一の抑制
感情を露わにしない役どころを、静かに演じています。日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞しました。
この映画について:「生きて帰る」と言い続けた零戦搭乗員の、最期。
娯楽映画としての完成度は高い作品です。構成は分かりやすく、空戦は迫力があり、感情の設計も的確。86億円という数字は伊達ではありません。
一方で、戦争の描き方については批判が強く出ました。特攻を組織的な問題として描くのか、個人の献身の物語として描くのか。本作は明確に後者に寄っており、結果として特攻を美的なものに見せてしまっているという指摘があります。私もこの点は引っかかりました。
主人公が一貫して「生きて帰る」と主張していた分、終盤の選択には説明が要ります。映画はそこに感情的な理由を与えるのですが、その理由づけを納得と取るか、すり替えと取るかで評価が割れます。
観る価値のある作品だとは思います。ただし、この題材を扱った他の作品——『野火』や『この世界の片隅に』——とあわせて観ることを勧めます。当サイトではどちらも収録しています。
この作品の良さ
- 日本映画として突出した空戦のVFX
- 証言の重なりで人物像を作る構造
- 岡田准一の抑えた演技
- 娯楽映画としての完成度
当サイトの評価
「生きて帰る」と言い続けた零戦搭乗員の、最期。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 3.7 |
| 映像美 | 4.1 |
| 音楽 | 3.9 |
| 演技 | 4.2 |
| 余韻 | 4.0 |
世間ではどう評価されているか
- 興行収入
- 86.0 億円
- 日本アカデミー賞
- 最優秀作品賞 第37回
- 原作
- 百田尚樹 の小説
興行収入86.0億円を記録し、第37回日本アカデミー賞で最優秀作品賞・最優秀主演男優賞などを受賞しました。
一方で、特攻の描き方をめぐっては公開当時から批判と擁護の双方が出ており、作品の評価は分かれたままです。当サイトでは事実として両論があることを記しておきます。
こんな人におすすめ
- 航空戦の映像を観たい人
- 『この世界の片隅に』『野火』とあわせて観たい人
- 議論のある作品を自分で判断したい人
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