この世界の(さらにいくつもの)片隅に(2020年・邦画)のイメージ

この世界の(さらにいくつもの)片隅に

4.6/5当サイトの評価(5点満点)

「完全版」と呼ぶには収まりが悪い作品です。別バージョンとして観るのが正確だと思います。

ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。

作品データ

監督・脚本
片渕須直
原作
こうの史代『この世界の片隅に』
声の出演
のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞
上映時間
168分
製作国
日本
公開
2020年

あらすじ(ネタバレなし)

昭和10年代の広島・呉。絵を描くことが好きなすずは、顔も知らない相手のもとへ嫁ぎます。慣れない土地での生活が始まりました。

戦争は少しずつ日常を侵食していきます。配給が減り、空襲が増え、それでも彼女は工夫しながら暮らしを続けます。

本作で加わるのが、遊郭に生きるリンという女性との関わりです。夫との過去を知ってしまったすずは、自分の立ち位置を考え直すことになります。

ここが見どころ

リンという存在

2016年版では大幅に削られていた人物です。すずが「選ばれた側」であることを自覚するという筋が加わり、物語の重心が変わります。

日常の描写の密度

食事の支度、着物の仕立て直し、闇市。戦時下を「暮らし」として描くという方針は前作から一貫しており、追加場面でも保たれています。

のんの声

すずの、のんびりして見えて芯のある性格を、声だけで成立させています。この配役がシリーズの土台です。

この映画について:40分足して、まったく別の映画になった。

168分は長い。2016年版の126分でも十分に完結していたので、足された40分をどう受け取るかがすべてです。

私は、加わったことで作品が良くなったと思っています。すずが無垢な存在ではなくなるからです。誰かの居場所を奪って自分の居場所を得た、という自覚が入ることで、物語の底が深くなりました。

一方で、テンポは明らかに落ちます。2016年版の、淡々と進む中で不意に痛みが来る呼吸は失われました。どちらが優れているかは決めがたい。

初めて観るなら2016年版を勧めます。そのうえで、もう一度違う角度から観たくなったときに本作へ進むのが良いと思います。

この作品の良さ

  • リンの追加によって変わる物語の重心
  • 戦時下を暮らしとして描く一貫した方針
  • のんによる声の演技
  • 同じ題材を別の角度から観られる価値

当サイトの評価

4.6/5.0

40分足して、まったく別の映画になった。

項目別の採点(5点満点)
項目点数
脚本4.6
映像美4.7
音楽4.5
演技4.6
余韻4.9

世間ではどう評価されているか

上映時間
168
原型
2016 年『この世界の片隅に』
公開
2020

数字は2026年8月時点で確認できたものです。IMDbのスコアや公開中の作品の興行収入は、その後も変動します。

2016年の『この世界の片隅に』に、未収録だった場面を加えた長尺版です。上映時間は168分。

単純な「完全版」ではなく、物語の重心が変わった別バージョンとして受け止められています。当サイトでは2016年版も収録しています。

こんな人におすすめ

  • 2016年版を観た人
  • 戦時下の日常を描いた作品が好きな人
  • 長尺に耐えられる人

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