用心棒YOJIMBO
邦画1961年時代劇1960年代黒澤明

用心棒

黒澤作品の中でいちばん軽く、いちばん入りやすいのがこれだと思っています。110分、余計なものが一切ありません。

ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。

作品データ

監督
黒澤明
脚本
菊島隆三、黒澤明
出演
三船敏郎、仲代達矢、東野英治郎、司葉子
音楽
佐藤勝
上映時間
110分
公開
1961年4月

あらすじ(ネタバレなし)

ある宿場町に、名も無い浪人がふらりと現れます。町は二つのやくざ一家が対立して荒れ果て、住人は家に閉じこもり、棺桶屋だけが繁盛していました。

浪人は「用心棒として雇え」と両方の一家に売り込みます。腕を見せて値をつり上げ、双方に相手の動きを流し、二つの組を正面からぶつからせていく。彼の目的は金ではありませんでした。

ここが見どころ

冒頭の犬

人間の手を咥えた犬が町を横切る。台詞ひとつなく、この町がどういう場所かを説明し切る導入です。

望遠レンズの殺陣

長いレンズで人物を圧縮して撮ることで、刀の間合いが異様に近く見えます。以降のアクション撮影に広く影響しました。

仲代達矢の拳銃

刀の世界に一人だけ拳銃を持った男を出す。ルールの外にいる存在を置くことで、緊張が最後まで持ちます。

この映画について:対立する二つの悪を、両方に雇われて共倒れさせる。

とにかく無駄がありません。主人公は名前すら名乗らず、動機もほぼ説明されないのに、110分まったく退屈しない。やることが明快で、次に何が起きるかが分かりやすく、しかも毎回少し裏切られます。

三船敏郎の立ち居振る舞いが決定的で、肩をすくめ、無精髭を掻き、面倒くさそうに人を斬る。この「かっこよさの型」は、以後の主人公像を長く支配しました。

話としての深さはありません。人物の内面も描かれない。そこを求めると物足りませんが、娯楽時代劇としての完成度は文句のつけようがないと思います。

この作品の良さ

  • 110分に無駄がない、娯楽時代劇としての完成度
  • 三船敏郎の造形が以降の主人公像を決めた
  • 望遠レンズによる殺陣の見せ方

当サイトの評価

4.7/5.0

対立する二つの悪を、両方に雇われて共倒れさせる。

項目別の採点(5点満点)
項目点数
脚本4.8
映像美4.8
音楽4.6
演技5.0
余韻4.4

世間ではどう評価されているか

ヴェネツィア
男優賞 三船敏郎が受賞
IMDb
8.2 /10
翻案
西部劇に 『荒野の用心棒』の原型

ヴェネツィア国際映画祭で三船敏郎が男優賞を受賞しました。国内でも大ヒットし、翌年には続編『椿三十郎』が作られています。

イタリアで無断翻案された西部劇『荒野の用心棒』は訴訟に発展し、和解しています。その西部劇がさらに後の映画に影響を与えたため、この作品の型は世界中に広がりました。

こんな人におすすめ

  • 黒澤作品の入り口を探している人
  • 娯楽時代劇が観たい人
  • 西部劇やアクション映画が好きな人

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