めまい
ヒッチコック作品の中でも、いちばん歪んだ一本です。娯楽作というより、気持ちの悪さを味わう映画だと思っています。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- アルフレッド・ヒッチコック
- 出演
- ジェームズ・スチュワート、キム・ノヴァク
- 音楽
- バーナード・ハーマン
- 上映時間
- 128分
- 日本公開
- 1958年(アメリカ公開年)
あらすじ(ネタバレなし)
サンフランシスコ。追跡中の事故で同僚を死なせ、高所恐怖症になった元刑事スコティは、旧友から妻の尾行を依頼されます。妻マデリンは、死んだ先祖に取り憑かれているというのです。
尾行するうちに彼女に強く惹かれていくスコティ。しかしある日、彼は自分の恐怖症のせいで、彼女を救えませんでした。そして数か月後、街で彼女によく似た女性を見かけます。
ここが見どころ
めまいの表現
ズームとカメラの前後移動を同時に行い、奥行きだけが伸び縮みする映像。この作品のために発明された技法で、いまも同じ効果として使われています。
後半の作り替え
スコティが女性の髪型と服を元の姿に「戻して」いく過程。愛ではなく作り替えであることを、映画は隠しません。ここが不快で、そして凄い。
この映画について:サスペンスの形をした、執着についての映画。
サスペンスとしての謎は中盤で明かされます。問題はその後で、残り時間はすべて主人公の執着に費やされる。観客は彼が何をしているか分かったうえで、止められないまま見続けることになります。
色の設計が異常に強く、緑と赤が繰り返し使われます。バーナード・ハーマンの音楽も含めて、感覚に直接くる作品です。
テンポは遅く、主人公に共感もできません。公開当時の評価が低かったのも分かります。ただ、この居心地の悪さこそが狙いなので、そこを面白がれるかどうかです。
この作品の良さ
- めまいを表現する撮影技法の発明
- 色彩設計とバーナード・ハーマンの音楽
- 執着を美化せずに描く後半
当サイトの評価
サスペンスの形をした、執着についての映画。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.7 |
| 映像美 | 5.0 |
| 音楽 | 5.0 |
| 演技 | 4.7 |
| 余韻 | 5.0 |
世間ではどう評価されているか
- 批評家投票
- 1位 英『Sight & Sound』2012年版
- IMDb
- 8.3 /10
- 公開時
- 評価低め 後年に再評価
公開当時の評価は高くありませんでしたが、後年に再評価が進み、英国映画協会『Sight & Sound』誌の2012年の批評家投票では、50年以上1位だった『市民ケーン』を抜いて1位になりました。
こんな人におすすめ
- 居心地の悪い映画を面白がれる人
- 色や音の設計に興味がある人
- ヒッチコックを一本選ぶなら代表作以外を、という人
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