十二人の怒れる男
会話劇の教科書と呼ばれる作品です。短く、構造も明快なので、古い映画の入り口としても向いています。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- シドニー・ルメット
- 脚本
- レジナルド・ローズ
- 出演
- ヘンリー・フォンダ、リー・J・コッブ、E・G・マーシャル
- 上映時間
- 96分
- 公開
- 1957年(アメリカ)
あらすじ(ネタバレなし)
父親殺しの罪に問われた少年の裁判。証言も証拠もそろっており、12人の陪審員は早々に有罪で一致するはずでした。
しかし採決の結果は11対1。ただ一人、無罪に手を挙げた男が「話し合ってみないか」と提案します。蒸し暑い部屋の中で、事件の細部が一つずつ検証されていきます。
ここが見どころ
レンズが少しずつ変わる
序盤は広角で部屋が広く見え、終盤に向かって望遠になり、天井が迫ってきます。同じ部屋なのに息苦しくなっていくのはこの設計のためです。
12人を見分けさせる技術
名前はほとんど出ません。それでも職業、癖、座る位置だけで全員が区別できます。人物設計として非常に無駄がない。
この映画について:部屋ひとつ、96分、男が12人。それだけで持つ。
扱っているのは「疑わしきは罰せず」という原則が、実際にはどれだけ守られにくいかという話です。多数派に合わせたい人、早く帰りたい人、偏見で判断する人。評決を歪めるのは悪意ではなく、面倒くささです。
96分という短さで、12人全員に見せ場が用意されているのが見事です。一人ずつ意見を変えていく順番にも、きちんと理由がある。
難点は、主人公が最初から完全に正しい人物として描かれることでしょうか。少し理想化されすぎている感はあります。あと当然ながら白黒で、男性しか出てきません。
この作品の良さ
- 部屋ひとつで96分持たせる脚本
- レンズの変化による息苦しさの演出
- 12人を名前なしで見分けさせる人物設計
当サイトの評価
部屋ひとつ、96分、男が12人。それだけで持つ。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 5.0 |
| 映像美 | 4.4 |
| 音楽 | 4.2 |
| 演技 | 5.0 |
| 余韻 | 4.8 |
世間ではどう評価されているか
- ベルリン
- 金熊賞 1957年
- IMDb
- 9.0 /10
- 影響
- 定番 会話劇の教科書として
ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞。もとはテレビドラマとして作られた作品で、低予算・短期間で撮影されました。現在も脚本術や法学の教材として使われ続けています。
こんな人におすすめ
- 会話劇が好きな人
- 短くて確実な古典を探している人
- 議論や説得の過程に興味がある人
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