AND GROGU
スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー
配信ドラマの劇場版だが、シリーズを知らない人でも問題なく観られる作りになっている。何より、賞金稼ぎと子どもの話として完結しているのが強い。
前作のラストは、ヒーロー映画としてはかなり残酷な終わり方でした。その続きをどう描くのかがずっと気になっていた一本です。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
『ノー・ウェイ・ホーム』の結末から4年。ピーター・パーカーの存在は世界中の人々の記憶から消され、親友からも恋人からも認識されないまま、彼はニューヨークでスパイダーマンを続けていました。
誰にも知られず、誰からも感謝されない。それでも街を守り続けるという生活が、日常として定着しています。しかし人々の期待だけは「スパイダーマン」に集まり続け、彼はその重さを一人で引き受けている。
そんな中、ピーターの身体に異変が起こり始めます。命に関わる規模の変異。同じ街で別のやり方をとる自警団フランク・キャッスルとの接触もあり、彼は自分の続け方そのものを問い直すことになります。
記憶を消されたという設定を、悲劇として振りかざさずに日常として見せています。行きつけの店で名前を覚えられない、というような小さな積み重ねで4年ぶんの孤独を体感させてくるのがうまい。
ジョン・バーンサル演じるフランク・キャッスルは、スパイダーマンとは正反対の手段をとる人物です。同じ「街を守る」でも線の引き方がまるで違う。この対比が、ピーターの選択に意味を持たせています。
共演者が多く、詰め込まれている感は正直あります。ただ、アクションの尺で押し切るのではなく、静かな場面にきちんと時間を割いているぶんの長さでもあります。
前作の「全員に忘れられる」という結末は、シリーズを畳むための処理にも見えました。本作はそれを引き受けて、孤独をテーマの中心に据えたという点でまず誠実だと思います。派手な続編にして帳消しにすることもできたはずです。
監督は『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のデスティン・ダニエル・クレットン。アクションの設計より、人物の関係を丁寧に置く演出のほうに持ち味がある人で、その資質が今回の題材に合っています。
一方で、賛否がはっきり分かれている作品でもあります。共演者が多く、スパイダーマンとしての見せ場が相対的に薄いという指摘は理解できるところです。ヒーロー映画としての爽快感を期待して観ると、重さのほうが勝ちます。
とはいえ、トム・ホランドのピーターがここまで来たのか、という感慨はあります。3作かけて描かれてきた「若さ」がほぼ残っていないのが、いちばんの見どころかもしれません。
誰にも知られていないヒーローは、それでも街を守るのか。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.0 |
| 映像美 | 4.4 |
| 音楽 | 4.1 |
| 演技 | 4.3 |
| 余韻 | 4.4 |
数字は2026年8月時点で確認できたものです。IMDbのスコアや公開中の作品の興行収入は、その後も変動します。
2026年7月31日に日米同時公開され、世界興行収入は16.64億ドルに達しています。日本での興行収入は29.2億円です(いずれも2026年8月時点。公開直後のため数字はさらに伸びます)。
評価は分かれており、シリーズ最高傑作と評する声がある一方で、登場人物が多くスパイダーマン本人の見せ場が薄いという批判も出ています。数字としては大成功、内容としては議論を呼んだ作品という位置づけです。
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