EVERYWHEREALL AT ONCE
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
コインランドリーを営む移民女性が、並行世界の自分の能力を借りて戦う。悪ふざけの密度と、母娘の話の真面目さが同居する。
オリジナルを観ていなくても大丈夫です。102分と短い。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
1953年、ロンドン。市役所の課長ウィリアムズは、何十年も同じ席に座り、書類を右から左へ流すだけの日々を送っています。部下たちは彼を「ゾンビ」と呼びます。
ある日、医師から余命わずかと告げられます。彼は無断欠勤し、海辺の町へ向かいますが、遊び方が分かりません。
偶然会った元部下の若い女性の快活さに触れた彼は、ある決意をします。住民から陳情のあった、小さな児童公園を作ることです。
感情をほとんど出さない演技。だからこそ、一度だけ歌う場面が効きます。
原作の泥臭さを、抑制と婉曲に置き換えています。カズオ・イシグロの脚本が、それを可能にしています。
原作でも最も有名な一連。形は変えず、雪ではなく夜の光で描き直しています。
リメイクとして、原作の構造をほぼそのまま守っています。後半を葬儀の回想にする構成も同じです。
オリジナルの持つ怒りや泥臭さは薄れています。そこを物足りなく感じる人はいるでしょう。ただ、英国の職業倫理の話として置き換えた判断は妥当です。
難点は、原作を知っていると驚きがまったくないことです。
黒澤明の『生きる』を、1950年代ロンドンに移す。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.1 |
| 映像美 | 4.4 |
| 音楽 | 4.3 |
| 演技 | 4.8 |
| 余韻 | 4.5 |
第95回アカデミー賞で主演男優賞と脚色賞にノミネートされました。
脚本を担当したカズオ・イシグロは、ノーベル文学賞を受賞した作家です。
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