

窮鼠はチーズの夢を見る
主人公が徹底して情けないのですが、そこを直さないのが良い作品です。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- 行定勲
- 原作
- 水城せとな『窮鼠はチーズの夢を見る』
- 出演
- 大倉忠義、成田凌、咲妃みゆ、吉田志織
- 製作国
- 日本
- 公開
- 2020年
- ジャンル
- 恋愛
あらすじ(ネタバレなし)
会社員の恒明は、来る者を拒めない性格から、いくつもの不倫関係を重ねていました。妻とは離婚することになります。
そこへ、大学の後輩だった今ヶ瀬が現れます。彼は探偵として恒明の浮気調査をしており、そして学生時代から恒明を好きだったと告げました。
強引に関係を迫られた恒明は、例によって拒みません。流されるまま始まった関係の中で、しかし彼は初めて、自分がどうしたいのかを考え始めます。
ここが見どころ
主人公の情けなさ
恒明は最後まで優柔不断です。成長して決断力を持つ、という筋にしていないのが本作の誠実さです。
成田凌の造形
執着が強く、時に加害的でもある人物を、魅力的に見せすぎずに演じています。この配分が難しい役です。
行定勲の画
光と間の使い方に特徴があり、会話のない時間が長く保たれます。この静けさが関係の不安定さを支えています。
この映画について:流されるだけの男が、初めて自分で選ぶまで。
同性間の恋愛を扱った日本映画は増えましたが、本作が特徴的なのは主人公が最後まで立派にならないことです。彼は流され続け、傷つけ続けます。
その情けなさを直さずに終わらせたことで、作品は嘘をつかずに済んでいます。誰かを好きになれば人は変われる、という物語を拒んでいる。
一方で、今ヶ瀬の言動には強引な場面が含まれます。同意のない接触も描かれ、そこを恋愛として提示することへの批判もありました。この点は引っかかるところです。
静かな作品で、事件は起きません。関係が近づいたり離れたりするだけで2時間が過ぎます。この呼吸に乗れるかどうかで評価が変わります。
この作品の良さ
- 主人公を成長させない誠実さ
- 成田凌の、魅力的にしすぎない造形
- 行定勲による光と間の演出
- 恋愛で人は変わらないという前提
当サイトの評価
流されるだけの男が、初めて自分で選ぶまで。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 3.8 |
| 映像美 | 4.0 |
| 音楽 | 3.8 |
| 演技 | 4.1 |
| 余韻 | 3.9 |
世間ではどう評価されているか
- 原作
- 水城せとな の漫画
- 監督
- 行定勲
- 公開
- 2020 年
数字は2026年8月時点で確認できたものです。IMDbのスコアや公開中の作品の興行収入は、その後も変動します。
水城せとなの漫画を原作とする作品です。
同意のない接触の描写を恋愛として扱っている点については、批判もあります。当サイトではその点を記しておきます。
こんな人におすすめ
- 静かな恋愛映画が好きな人
- 主人公が成長しない話に耐えられる人
- 原作漫画を読んだ人
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