PROJECT
HAIL MARY
洋画2026年SF2020年代アメリカ

プロジェクト・ヘイル・メアリー

「内容を知らずに観たほうがいい」と言われ続けてきた小説の映画化です。ここでも中盤以降には触れません。ただ、なぜそこまで言われるのかは書いておきたいと思います。

ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。

作品データ

監督
フィル・ロード&クリス・ミラー
原作
アンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(2021年)
出演
ライアン・ゴズリング
製作国
アメリカ
公開
2026年3月(日本)
ジャンル
SF/サバイバル

あらすじ(ネタバレなし)

ある男が、宇宙船の中で目を覚まします。自分が誰なのか、なぜここにいるのかが分からない。分かるのは、同乗していたはずの二人がすでに死んでいるということだけです。

断片的に戻ってくる記憶をつなぎ合わせるうちに、彼は自分に課された任務を思い出していきます。太陽が急速に弱まりつつあり、このままでは地球の生態系が保たない。その原因を突き止めて解決策を持ち帰る——それがこの片道分の燃料しかない船に乗せられた理由でした。

手元にあるのは、限られた実験器具と、自分の頭だけ。彼は科学者としてできることを一つずつ試していきます。そして航行の途中、まったく予想していなかったものと遭遇します。

ここが見どころ

「分からない」から始まる構成

主人公と観客が同時に記憶を失った状態から始まるので、説明を聞かされている感じがしません。回想が挟まるたびに任務の全体像が一段ずつ見えてくる作りで、説明の順番そのものが娯楽になっているタイプの脚本です。

理屈で解くSF

原作の魅力は、超科学に頼らず手持ちの材料と物理法則だけで難題を突破していくところにありました。映画版もその路線を維持しています。試して、失敗して、条件を変えてまた試す。地味なはずのこの反復が、ちゃんと見せ場になっています。

中盤の出会い

これ以上は書きません。事前情報を入れずに観たほうがいい、と言われる理由はここにあります。SFの一場面としてだけでなく、人(あるいは人でないもの)との関係の話として効いてきます。

この映画について:記憶を失った男が、宇宙でいちばん奇妙な同僚と出会う。

監督は『レゴ ムービー』『スパイダーマン:スパイダーバース』のフィル・ロード&クリス・ミラー。ふざけた作品ばかり作ってきた印象を持たれがちなコンビですが、この二人の本当の強みは難しい設定を観客に飲み込ませる整理の巧さで、それがこの原作と噛み合っています。

ライアン・ゴズリングという配役も効いています。彼が演じると、優秀な科学者であると同時に、しょっちゅう弱音を吐く普通の中年に見える。世界を救う任務を負っているのに悲壮感が過剰にならないのは、ほとんどこの人の持ち味によるものだと思います。

原作を読んでいる人には、削られた箇所が気になる部分もあるはずです。文章だからこそ成立していた説明の楽しさは、映像だとどうしても圧縮される。それでも、この小説の「いちばん大事なところ」を外していないという点は言い切れます。

SFが得意でない人にも勧めやすい一本です。科学の話は出てきますが、理解できないと置いていかれる作りにはなっていません。

この作品の良さ

  • 記憶喪失という設定を、説明の順番の設計に使い切っている
  • 超科学に頼らず、試行錯誤そのものを見せ場にしている
  • ライアン・ゴズリングの、力の抜けた主人公像
  • SFに不慣れな人でも置いていかれない

当サイトの評価

4.4/5.0

記憶を失った男が、宇宙でいちばん奇妙な同僚と出会う。

項目別の採点(5点満点)
項目点数
脚本4.5
映像美4.5
音楽4.2
演技4.4
余韻4.5

世間ではどう評価されているか

原作
2021 年刊行のベストセラー
日本興収
17.6 億円
世界興収
6.83 億ドル

アンディ・ウィアーが2021年に発表した同名小説の映画化です。ウィアーは『火星の人』(映画版『オデッセイ』)の作者でもあります。

2026年3月に世界公開され、配給元のAmazon MGMスタジオにとって初週興行として過去最高の数字を記録したと報じられました。日本でも同年3月に公開され、興行収入は17.6億円です。

こんな人におすすめ

  • 『オデッセイ』『インターステラー』が好きだった人
  • 理屈がきちんと立っているSFを観たい人
  • 予備知識を入れずに観る楽しみを味わいたい人

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