
千と千尋の神隠し
国内興行収入316.8億円、アカデミー賞とベルリン金熊賞をダブル受賞。数字だけが有名になりがちだが、中身は驚くほど地に足のついた「働く話」です。
重い題材を、あくまで青春映画の形で押し切った一本です。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
杉原は在日韓国人の高校生です。朝鮮学校から日本の高校に進み、周囲との距離を測りかねています。元ボクサーの父から鍛えられ、喧嘩は強い。
ある日、友人のパーティーで桜井という少女と出会います。互いに惹かれあいますが、杉原は自分の出自をどう伝えるかを決めかねます。
名前とは何か、国籍とは何か。彼は誰にも用意されていない答えを、自分で探すことになります。
カメラに向かって話しかけ、走り、跳ねる。2001年当時の窪塚洋介の身体そのものが、この映画の推進力です。
重い題材を、軽口とテンポで運びます。説教にならない。
元ボクサーで、息子を殴りながら育てる父。この人物が背負っている歴史が、台詞の少なさで示されます。
この作品の核は、終盤の「名前を呼べ」というやりとりです。属性ではなく個人として扱われることを、たった一言で要求する。ここに全部が集約されています。
青春映画として爽快に作られていますが、扱っている問題は少しも解決していません。それを分かったうえで走り抜ける構成が誠実だと思います。
難点は、演出の勢いがときに空回りすること。2000年代初頭の映像の流行がやや古びて見える箇所もあります。
「俺の名前を呼べよ」。国籍と名前についての青春映画。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.3 |
| 映像美 | 4.1 |
| 音楽 | 4.2 |
| 演技 | 4.6 |
| 余韻 | 4.3 |
第25回日本アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞など多数の部門を受賞しました。
原作は第123回直木賞を受賞した金城一紀の同名小説です。
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