ハウルの動く城
呪いで90歳の老婆にされた少女が、動く城で暮らし始める。物語の整理は決してよくないが、動く城の造形と久石譲のワルツだけで観る価値がある。
是枝裕和監督の名前が国際的に知られるきっかけになった作品です。とても静かで、とてもきついです。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
都内のアパートに引っ越してきた母と長男。しかし荷物の中には、隠されて運び込まれた3人の弟妹がいました。父親はそれぞれ違い、全員が学校に通っていません。
母は仕事だと言って家を空けるようになり、やがて現金と短い手紙だけを残して帰ってこなくなります。12歳の長男・明が家計を預かり、4人の生活が始まります。季節が移るにつれて、電気が止まり、水が止まり、部屋が荒れていきます。
何が起きたかを台詞で説明せず、爪が伸び、服が汚れ、部屋にものが増えていくことで時間を示します。気づくと取り返しがつかなくなっているという感覚が、そのまま体験できます。
台本を渡さず、その場で指示を出す方法で撮られています。柳楽優弥はカンヌ国際映画祭で史上最年少の男優賞を受賞しました。
部屋の中の静けさに対して、外からは電車、子どもの声、コンビニの音が入ってきます。すぐそこに社会があるのに、誰も気づかない。
実際の事件を下敷きにしていますが、誰かを告発する作りにはなっていません。母親も、周囲の大人も、悪人としては描かれない。ただ、誰も気づかないまま時間が過ぎていく。この距離の取り方が是枝作品の特徴です。
141分は長いのですが、そのほとんどが日常の反復に使われています。この長さがなければ、状況が少しずつ悪化していく感覚は出せなかったと思います。
観るのがつらい作品です。特に終盤は、明確な救いがないまま終わります。体調と気持ちに余裕のあるときに観ることを強く勧めます。ただ、映画としての完成度は非常に高い。
子どもたちだけの部屋が、少しずつ壊れていく。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.6 |
| 映像美 | 4.5 |
| 音楽 | 4.3 |
| 演技 | 5.0 |
| 余韻 | 5.0 |
2004年のカンヌ国際映画祭で、当時14歳の柳楽優弥が史上最年少で男優賞を受賞しました。この受賞によって、是枝裕和監督の名前が国際的に知られるようになります。
1988年に実際に起きた事件を下敷きにしていますが、監督は事件の再現ではないと繰り返し述べており、設定も結末も変えられています。
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