A SEPARATION
別離
脚本の完成度という点で、この10年の外国映画では突出していると思っています。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督・脚本
- アスガル・ファルハディ
- 出演
- ペイマン・モアディ、レイラ・ハタミ、サレー・バヤト
- 製作国
- イラン
- 上映時間
- 123分
- 日本公開
- 2012年4月
あらすじ(ネタバレなし)
テヘラン。妻シミンは娘の将来のために国外移住を望み、夫ナデルは認知症の父を置いていけないと拒みます。二人は離婚調停の場に立ちますが、認められません。
妻が家を出たあと、ナデルは父の世話をする家政婦を雇います。しかしある日、彼女の不在に激高したナデルが彼女を家から押し出したことをきっかけに、妊娠していた家政婦が流産します。彼は殺人罪に問われることになります。
ここが見どころ
全員が少しずつ嘘をつく
誰も完全な悪人ではなく、誰も潔白でもない。それぞれの立場から見ればすべて正当という状態が、最後まで維持されます。
子どもの視線
11歳の娘が、父が嘘をつく瞬間を目撃します。この映画の本当の被害者は、判断を迫られる子どもです。
この映画について:全員に正当な言い分がある。だから解けない。
脚本の設計が異様に緻密です。新しい事実が出るたびに、それまでの正しさが少しずつ崩れる。しかも作為的に感じさせない。
階級、信仰、司法制度といったイラン社会の条件が具体的に効いていますが、家族の話としては国境を越えて通じます。
難点は、登場人物が多く、序盤の関係把握に集中が要ることです。また救いはなく、最後の一カットで判断は観客に投げられます。
この作品の良さ
- 全員に正当性を与える脚本の緻密さ
- 子どもの視線を軸に置く構成
- 社会的条件を具体的に描く姿勢
当サイトの評価
4.7/5.0
全員に正当な言い分がある。だから解けない。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 5.0 |
| 映像美 | 4.3 |
| 音楽 | 4.0 |
| 演技 | 4.9 |
| 余韻 | 4.9 |
世間ではどう評価されているか
- 米アカデミー賞
- 受賞 外国語映画賞
- ベルリン
- 金熊賞 2011年
- IMDb
- 8.3 /10
ベルリン国際映画祭の金熊賞と、アカデミー賞の外国語映画賞を受賞。イラン映画として初のアカデミー賞受賞作品です。
こんな人におすすめ
- 脚本の緻密さを味わいたい人
- 答えの出ない話が好きな人
- 他の国の社会を知りたい人
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