

遠い山なみの光
原作の仕掛けを、よく映像に移し替えた作品だと思います。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督・脚本
- 石川慶
- 原作
- カズオ・イシグロ『遠い山なみの光』
- 出演
- 広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊、松下洸平
- 製作国
- 日本・イギリス・ポーランド
- 公開
- 2025年
- 出品
- カンヌ国際映画祭 ある視点部門
あらすじ(ネタバレなし)
1980年代のイギリス。日本人の悦子は、次女とともに静かに暮らしています。長女は自ら命を絶っていました。
次女に問われるまま、悦子は1950年代の長崎での日々を語り始めます。復興が進む町で出会った、佐知子という女性のことを。
佐知子は幼い娘を連れ、アメリカ人の男とともに国を出ようとしていました。娘はそれを嫌がっています。語られる記憶は、次第に奇妙な符合を見せ始めます。
ここが見どころ
信用できない語り手
語られる過去には、明らかな矛盾があります。誰の記憶なのかが揺らいでいくという原作の仕掛けが、映像でも保たれています。
1950年代の長崎
原爆から数年後の町が舞台です。惨状を直接描かず、復興の途上として撮るという選択がなされています。
広瀬すずと二階堂ふみ
対照的な二人の女性を演じます。どちらが語り手の投影なのか、観客に判断が委ねられます。
この映画について:長崎の記憶を語る母。しかし、その話は本当なのか。
カズオ・イシグロのデビュー作が原作です。語り手の記憶が信用できないという構造を、どう映像にするかが最大の課題でした。
石川慶の演出は、あえて説明しません。矛盾をそのまま画面に残し、観客に気づかせるという方針が取られています。この判断が正解でした。
1950年代の長崎の描き方も抑制されています。原爆について直接語る場面は少なく、生活の再建として描かれます。
難点は、仕掛けに気づかないまま終わる可能性があることです。一度観ただけでは、何が起きていたか分からない人はいるでしょう。
この作品の良さ
- 信用できない語り手の構造の移植
- 説明せずに矛盾を残す演出
- 復興途上として描く長崎
- 対照的な二人の配役
当サイトの評価
長崎の記憶を語る母。しかし、その話は本当なのか。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.3 |
| 映像美 | 4.4 |
| 音楽 | 4.1 |
| 演技 | 4.5 |
| 余韻 | 4.5 |
世間ではどう評価されているか
- 原作
- カズオ・イシグロ のデビュー作
- カンヌ
- 出品 ある視点部門
- 公開
- 2025 年
数字は2026年8月時点で確認できたものです。IMDbのスコアや公開中の作品の興行収入は、その後も変動します。
ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロのデビュー作を原作とし、カンヌ国際映画祭のある視点部門に出品されました。
原作の「信用できない語り手」という構造を映像で保った点が評価されています。
こんな人におすすめ
- カズオ・イシグロの原作を読んだ人
- 解釈を委ねられる作品が好きな人
- 石川慶の作品を追っている人
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