遠い山なみの光(2025年・邦画)のイメージ

遠い山なみの光

4.3/5当サイトの評価(5点満点)

原作の仕掛けを、よく映像に移し替えた作品だと思います。

ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。

作品データ

監督・脚本
石川慶
原作
カズオ・イシグロ『遠い山なみの光』
出演
広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊、松下洸平
製作国
日本・イギリス・ポーランド
公開
2025年
出品
カンヌ国際映画祭 ある視点部門

あらすじ(ネタバレなし)

1980年代のイギリス。日本人の悦子は、次女とともに静かに暮らしています。長女は自ら命を絶っていました。

次女に問われるまま、悦子は1950年代の長崎での日々を語り始めます。復興が進む町で出会った、佐知子という女性のことを。

佐知子は幼い娘を連れ、アメリカ人の男とともに国を出ようとしていました。娘はそれを嫌がっています。語られる記憶は、次第に奇妙な符合を見せ始めます。

ここが見どころ

信用できない語り手

語られる過去には、明らかな矛盾があります。誰の記憶なのかが揺らいでいくという原作の仕掛けが、映像でも保たれています。

1950年代の長崎

原爆から数年後の町が舞台です。惨状を直接描かず、復興の途上として撮るという選択がなされています。

広瀬すずと二階堂ふみ

対照的な二人の女性を演じます。どちらが語り手の投影なのか、観客に判断が委ねられます。

この映画について:長崎の記憶を語る母。しかし、その話は本当なのか。

カズオ・イシグロのデビュー作が原作です。語り手の記憶が信用できないという構造を、どう映像にするかが最大の課題でした。

石川慶の演出は、あえて説明しません。矛盾をそのまま画面に残し、観客に気づかせるという方針が取られています。この判断が正解でした。

1950年代の長崎の描き方も抑制されています。原爆について直接語る場面は少なく、生活の再建として描かれます。

難点は、仕掛けに気づかないまま終わる可能性があることです。一度観ただけでは、何が起きていたか分からない人はいるでしょう。

この作品の良さ

  • 信用できない語り手の構造の移植
  • 説明せずに矛盾を残す演出
  • 復興途上として描く長崎
  • 対照的な二人の配役

当サイトの評価

4.3/5.0

長崎の記憶を語る母。しかし、その話は本当なのか。

項目別の採点(5点満点)
項目点数
脚本4.3
映像美4.4
音楽4.1
演技4.5
余韻4.5

世間ではどう評価されているか

原作
カズオ・イシグロ のデビュー作
カンヌ
出品 ある視点部門
公開
2025

数字は2026年8月時点で確認できたものです。IMDbのスコアや公開中の作品の興行収入は、その後も変動します。

ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロのデビュー作を原作とし、カンヌ国際映画祭のある視点部門に出品されました。

原作の「信用できない語り手」という構造を映像で保った点が評価されています。

こんな人におすすめ

  • カズオ・イシグロの原作を読んだ人
  • 解釈を委ねられる作品が好きな人
  • 石川慶の作品を追っている人

配信を探す

各サービスで「遠い山なみの光」を検索した結果へ移動します。配信の有無はリンク先でご確認ください(配信状況は頻繁に変わるため、当サイトでは配信中かどうかの判定はしていません)。