SPIDER-VERSE
スパイダーマン:スパイダーバース
シリーズものだから、と敬遠されがちですが、予備知識はほぼ要りません。むしろ「アニメーションで何ができるか」を確かめる映画として勧めています。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマン
- 製作・脚本
- フィル・ロード、クリストファー・ミラー
- 製作国
- アメリカ
- 上映時間
- 117分
- 日本公開
- 2019年3月
あらすじ(ネタバレなし)
ニューヨークで暮らす中学生マイルス・モラレスは、進学した名門校になじめず、警官の父ともうまくいっていません。ある夜、地下で不思議な蜘蛛に噛まれます。
同じころ、街の地下で行われた実験によって別の次元の扉が開き、それぞれの世界のスパイダーマンたちが集まってきてしまいます。マイルスは、彼らを元の世界に帰し、自分もヒーローになれるのかを問われることになります。
ここが見どころ
コミックの質感を動かす
網点、色ズレ、擬音の文字、コマ割り。紙の印刷物の特徴をそのままアニメーションの文法にした作品で、公開当時これを見た人はまず面食らいました。
キャラごとに描き方を変える
登場するスパイダーマンごとに線の太さ、フレームレート、色数まで変えてあります。同じ画面にいながら、出身の世界が違うことが視覚だけで分かる。
落下と信頼の場面
終盤、マイルスがビルから落ちていくカット。ここで初めてカメラが反転し、落下が飛翔に見える。技術がそのまま感情に変わる数秒です。
この映画について:アニメーションの見た目を、10年ぶんくらい前に進めた。
映像の話が先に立ちますが、脚本も堅実です。「誰でもマスクをかぶれる」という主題を、複数のスパイダーマンを出すという設定そのもので証明している。設定が飾りになっていません。
テンポは非常に速く、情報量も多い。ただ、初見で拾いきれない細部が多いこと自体が魅力になっていて、繰り返し観ることが前提のような作りです。
難点は、その情報量の多さが疲れることです。画面が常に賑やかで、静かな時間が少ない。また前提となるヒーローものの型を知らないと、いくつかの笑いは通り過ぎます。
この作品の良さ
- 印刷物の質感を動かすという映像表現の発明
- キャラクターごとに描画のルールを変える設計
- 主題と設定が一致している脚本
当サイトの評価
アニメーションの見た目を、10年ぶんくらい前に進めた。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.5 |
| 映像美 | 5.0 |
| 音楽 | 4.7 |
| 演技 | 4.3 |
| 余韻 | 4.2 |
世間ではどう評価されているか
- 米アカデミー賞
- 受賞 長編アニメ映画賞
- IMDb
- 8.4 /10
- 影響
- 大 以降のアニメ表現に波及
第91回アカデミー賞で長編アニメ映画賞を受賞。ディズニー/ピクサー以外の作品がこの部門を獲るのは久しぶりのことでした。
この作品以降、フレームレートを落とす、手描きの線を残すといった手法が他社の3DCGアニメにも広がりました。技術的な影響がはっきり追える一本です。
こんな人におすすめ
- アニメーションの表現に興味がある人
- ヒーローものは苦手だが映像は観たい人
- 何度も見返す前提で1本選びたい人
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