そして父になる
是枝作品の中では入りやすく、題材も明快な一本です。『万引き家族』の前段としても読めます。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督・脚本
- 是枝裕和
- 出演
- 福山雅治、尾野真千子、リリー・フランキー、真木よう子
- 上映時間
- 121分
- 公開
- 2013年9月
あらすじ(ネタバレなし)
大手建設会社に勤める野々宮良多は、都心のタワーマンションで妻と6歳の息子・慶多と暮らしています。仕事熱心で、息子にも自分と同じ努力を求めるタイプの父親です。
ある日、出産した病院から連絡が入ります。慶多は、生まれたときに他の家の子と取り違えられていた。相手は地方で電気店を営む、良多とはまるで生き方の違う斎木家でした。二つの家族は、子どもを交換するかどうかを選ばなければなりません。
ここが見どころ
二つの父親像
効率と成果を重んじる良多と、店の床で子どもと転がって遊ぶ斎木。どちらが良い父かを、映画は決めません。ただ、良多が斎木を羨ましく思い始めるのが見えてきます。
カメラの記録
終盤、良多があるものを見る場面。台詞をひとつも使わずに、6年間の意味を提示します。この映画でいちばん強い数分です。
子役の使い方
是枝作品らしく、子どもには台本を渡さず撮られています。反応の自然さが、大人たちの演技の芝居臭さを消しています。
この映画について:血のつながりと、過ごした時間。どちらを取るのか。
問いが明快なぶん、是枝作品の中では観やすい一本です。血か時間か。ただし映画はどちらかを正解にせず、良多という一人の男が父親になっていく過程だけを追います。
うまいのは、良多を最初は感じの悪い人物として描くことです。息子の出来に不満を持ち、相手の家族を見下す。そこから彼が変わっていくから、終盤が効きます。
リリー・フランキー演じる斎木が、対比としてやや理想化されている点は気になります。また、母親側の描写は父親側に比べて少ない。それでも、家族というものを考えるうえで強い一本だと思います。
この作品の良さ
- 問いが明快で、是枝作品として入りやすい
- 主人公を好感度の低い人物から始める構成
- 終盤の、台詞を使わない見せ方
当サイトの評価
血のつながりと、過ごした時間。どちらを取るのか。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.6 |
| 映像美 | 4.4 |
| 音楽 | 4.3 |
| 演技 | 4.9 |
| 余韻 | 4.8 |
世間ではどう評価されているか
- カンヌ
- 審査員賞 2013年
- 日本アカデミー賞
- 受賞 最優秀助演男優賞ほか
- IMDb
- 7.8 /10
2013年のカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞しました。是枝裕和監督が国際的な評価を確立していく過程にある作品です。
ハリウッドでのリメイク権が取得されたことでも話題になりました。取り違えという題材自体は普遍的で、各国で共感を得やすかったと言われます。
こんな人におすすめ
- 家族を扱った作品が好きな人
- 是枝作品の入り口を探している人
- 答えの出ない問いを考えたい人
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