& MONSTERS
ミニオンズ&モンスターズ
舞台はハリウッド。サイレント映画と怪奇映画へのオマージュを大量に仕込みつつ、いつも通り騒がしい。シリーズの中では相当に作り込まれた一本。
こういう企画は、まじめにやるかふざけ倒すかで完全に別物になります。本作は前者でした。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
イギリスの田舎町。羊飼いのジョージは、たくさんの羊たちと静かに暮らしていました。彼の日課は、夜になると羊たちに探偵小説を読み聞かせることです。羊たちはそれを何年も聞き続けてきました。
ある日、そのジョージが死体で発見されます。事故として片づけられようとしますが、羊たちはそれを信じません。長年ミステリを聞かされてきた彼らには、状況が事故に見えなかったのです。
群れの中でいちばん賢い羊リリーを中心に、彼らは独自の捜査を始めます。羊にできることは限られていますが、彼らには人間が気づかない視点がありました。
羊が探偵をするという時点で笑える設定ですが、推理の筋道そのものはきちんと組まれています。羊にできること・できないことを厳密に守った上で証拠を集めるので、ご都合主義になっていません。
人間の会話の意味が半分しか分からない、という制約が笑いにも推理にも使われています。誤解が生む可笑しさと、外から見たからこそ分かる真実が同居している。
ヒュー・ジャックマン、エマ・トンプソンという配役で、演技の水準が高い。とくにエマ・トンプソンは、この種の作品でも一切手を抜かない人です。
監督は『ミニオンズ』の共同監督を務めたカイル・バルダ。動物や小さな生き物を大量に動かす演出に慣れている人で、群れとして羊を扱う場面の処理がうまい。
この作品の良いところは、「羊が探偵をする」というギャップだけに寄りかからなかった点です。設定の面白さは最初の10分で消費されてしまうもので、そこから先を持たせるには話そのものが要る。本作は原作小説の骨格を活かして、そこをきちんと用意しています。
一方で、飛び抜けた作品かと言われると、そこまでではありません。ミステリとしての意外性は中程度で、大人が唸るような仕掛けはない。家族向けの枠を出ていないのは確かです。
ただ、この枠の中では相当に丁寧です。子どもと一緒に観てちゃんと会話が成立する、という意味では貴重な一本だと思います。
飼い主が殺された。捜査するのは、羊たちである。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 3.8 |
| 映像美 | 4.1 |
| 音楽 | 3.9 |
| 演技 | 3.9 |
| 余韻 | 3.7 |
数字は2026年8月時点で確認できたものです。IMDbのスコアや公開中の作品の興行収入は、その後も変動します。
ドイツの小説家レオニー・スヴァンによるベストセラー小説の映画化です。日本では2026年5月8日、アメリカと同時に公開されました。
監督は『ミニオンズ』の共同監督カイル・バルダ。ヒュー・ジャックマンとエマ・トンプソンが声を担当しています。
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