戦場のピアニスト
「生き延びた」以上のことを言わない誠実さが、この作品の強さです。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- ロマン・ポランスキー
- 原作
- ウワディスワフ・シュピルマンの手記
- 出演
- エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン
- 製作国
- フランス・ポーランド・ドイツ・イギリス
- 上映時間
- 150分
- 公開
- 2003年2月(日本)
あらすじ(ネタバレなし)
1939年、ワルシャワ。ラジオ局でピアノを弾いていたシュピルマンは、演奏の最中に爆撃を受けます。ドイツ軍のポーランド侵攻が始まったのです。
ユダヤ人への規制は日ごとに厳しくなり、腕章の着用、ゲットーへの移住、そして貨車での移送へと進んでいきます。家族が列車に乗せられるなか、シュピルマンだけが列から引き出されます。
以後、彼は廃墟となった街の空き部屋を転々とし、音を立てず、人目を避けて生き延びていきます。
ここが見どころ
音を立てられないピアノ
隠れ家に置かれたピアノの前で、鍵盤に触れずに指だけを動かす場面。この映画で最も雄弁な演奏です。
廃墟のワルシャワ
終盤、瓦礫だけになった街を一人歩く長い場面。説明の台詞は一切ありません。
ドイツ将校との対面
感動的な救済にはせず、事実の記録として淡々と置かれます。お涙頂戴に落ちない判断が最後まで貫かれています。
この映画について:英雄的な行動は何もしない。ただ生き延びる。
主人公は勇敢ではありません。逃げ、隠れ、他人の助けで生き延びます。戦争映画が主人公に求めがちな行動を、この作品は一切与えません。それが実話としての手触りを作っています。
ポランスキー自身がクラクフのゲットーからの生還者であり、母親を強制収容所で亡くしています。演出の抑制はその経験と無縁ではないでしょう。
難点は150分という長さと、中盤の反復です。ただ、その反復こそが「終わりが見えない」ことの表現でもあります。
この作品の良さ
- 感動に寄せない演出
- エイドリアン・ブロディの身体表現
- 廃墟の映像
当サイトの評価
英雄的な行動は何もしない。ただ生き延びる。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.4 |
| 映像美 | 4.7 |
| 音楽 | 4.8 |
| 演技 | 4.8 |
| 余韻 | 4.7 |
世間ではどう評価されているか
- カンヌ
- パルムドール 2002年
- アカデミー賞
- 3部門 監督賞・主演男優賞・脚色賞
- IMDb
- 8.5 /10
2002年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞、翌年のアカデミー賞では監督賞・主演男優賞・脚色賞を受賞しました。
原作はウワディスワフ・シュピルマン本人が1946年に発表した手記です。実在の人物の記録に基づいています。
こんな人におすすめ
- 戦争映画を史実として観たい人
- 感動の押し付けが苦手な人
- エイドリアン・ブロディを知りたい人
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