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PRIVATE RYAN
洋画1998年戦争1990年代スピルバーグ

プライベート・ライアン

有名な冒頭だけが語られがちですが、本編は「一人を救うために八人が死ぬのは正しいか」という問いの映画です。

ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。

作品データ

監督
スティーヴン・スピルバーグ
出演
トム・ハンクス、マット・デイモン、トム・サイズモア
撮影
ヤヌス・カミンスキー
上映時間
169分
日本公開
1998年9月

あらすじ(ネタバレなし)

1944年6月6日、ノルマンディー。オマハ・ビーチに上陸したアメリカ軍は、ドイツ軍の砲火の中で次々と倒れていきます。ミラー大尉の部隊は、多大な犠牲を払って陣地を確保します。

同じころ本国では、四人兄弟のうち三人が戦死した家庭が判明します。残る末弟ジェームズ・ライアン二等兵を無事に帰還させよという命令が下り、ミラーは八人の部下とともに、たった一人を探す任務に就きます。

ここが見どころ

冒頭の上陸作戦

シャッター速度を落とした撮影、彩度を抜いた色、音の遠のき方。それまでの戦争映画にあった英雄性を完全に排除し、混乱と痛みだけを写しています。

任務そのものへの疑い

部下たちは終始「なぜ一人のために八人が危険を冒すのか」と口にします。映画自身がこの任務を正当化しません。

終盤の市街戦

橋を守る攻防。冒頭が混乱なら、こちらは準備された戦闘として描かれ、対照的な構成になっています。

この映画について:冒頭30分で、戦争映画の見え方が変わった。

冒頭30分の衝撃が語られすぎていますが、本体は倫理の問いのほうです。数の計算では明らかに割に合わない任務を、それでも遂行することに意味はあるのか。映画は答えを与えず、最後に観客へ投げます。

撮影の手法も含めて、以降の戦争映画に与えた影響は絶大です。手持ちカメラ、彩度を抜いた画、音響の設計。いま観ると「よくある戦争映画の撮り方」に見えますが、その基準を作ったのがこの作品です。

弱点は、冒頭と終盤に挟まれた中盤がやや冗長なことと、前後を挟む現代パートが感傷的すぎることです。ここは不要だったという意見に、私も近いです。

この作品の良さ

  • 冒頭の上陸作戦の描写と、その影響の大きさ
  • 任務を正当化しない構成
  • 音響設計の精度

当サイトの評価

4.6/5.0

冒頭30分で、戦争映画の見え方が変わった。

項目別の採点(5点満点)
項目点数
脚本4.4
映像美5.0
音楽4.5
演技4.7
余韻4.6

世間ではどう評価されているか

米アカデミー賞
5冠 監督賞・撮影賞ほか
IMDb
8.6 /10
影響
決定的 以降の戦争映画の基準に

第71回アカデミー賞で監督賞・撮影賞・編集賞・録音賞・音響編集賞の5部門を受賞しました。作品賞は『恋におちたシェイクスピア』に譲っており、この結果はいまも議論されます。

戦闘描写の生々しさは、公開当時に退役軍人が上映中に退席するほどでした。戦争の描き方を変えた作品として、映画史の節目に置かれています。

こんな人におすすめ

  • 戦争映画の基準作を押さえたい人
  • 描写の強さに耐えられる人
  • 『ハクソー・リッジ』『1917』が好きだった人

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