ハウルの動く城
呪いで90歳の老婆にされた少女が、動く城で暮らし始める。物語の整理は決してよくないが、動く城の造形と久石譲のワルツだけで観る価値がある。
映像の氾濫を浴びる作品です。物語を追うより、絵の量に圧倒されるのが正しい観方かもしれません。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
他人の夢に入り込んで治療を行う装置「DCミニ」が開発されます。研究所の千葉敦子は、夢の中では「パプリカ」という別人格を使い、患者の治療にあたっていました。
しかし試作段階のDCミニが盗まれます。他人の夢に無制限に侵入できるその装置によって、研究所の関係者が次々と正気を失っていきます。やがて夢は現実側に溢れ出します。
冷蔵庫も鳥居も人形も一緒に練り歩く、意味不明の行列。作品の象徴であり、夢の氾濫そのものの視覚化です。
行進曲『白虎野の娘』。不安と高揚が同時に鳴るという他にない音で、映像と一体になっています。
夢を扱った作品は多いですが、ここまで密度の高い絵の氾濫を長時間続けたものは他にありません。90分という短さも、この密度なら適切です。
物語自体はミステリーの体裁を取りますが、正直あまり整理されていません。犯人の動機も駆け足です。ここは弱点だと思います。
『インセプション』への影響が指摘されるなど、後年の作品との関係でも語られます。難点は、情報量の多さと、性的な描写を含む場面があることです。
夢が現実に溢れ出す。それを絵として全部やってみせる。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.3 |
| 映像美 | 5.0 |
| 音楽 | 4.8 |
| 演技 | 4.3 |
| 余韻 | 4.5 |
数字は2026年8月時点で確認できたものです。IMDbのスコアや公開中の作品の興行収入は、その後も変動します。
今敏監督の最後の長編作品となりました(2010年に他界)。『インセプション』をはじめ、以降の映像作品への影響が指摘されることの多い一本です。
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