
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
コインランドリーを営む移民女性が、並行世界の自分の能力を借りて戦う。悪ふざけの密度と、母娘の話の真面目さが同居する。

評価が難しい作品です。やろうとしたことは分かるのですが、観ていて楽しくはありません。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
トーマス・アンダーソンは、伝説的なゲーム『マトリックス』を作ったデザイナーとして知られています。しかし彼は現実と虚構の区別がつかなくなり、精神科医の治療を受けていました。
会社からは、続編を作れという指示が下ります。「作らないなら権利者が勝手に作る」という圧力の中で、企画会議が進んでいきます。
そんな中、彼はカフェで見かける女性ティファニーに強く惹かれます。彼女には、どこかで会ったという確信がありました。
冒頭から、続編制作をめぐる会議が延々と描かれます。「なぜ続編を作るのか」という問いを、作品自身が扱っている。この開き直りは面白い。
旧三部作の場面が繰り返し挿入されます。記憶の断片として機能する一方、比較を招く構造でもあります。
終盤の焦点はネオではなくトリニティに移ります。シリーズの構図を反転させる試みです。
この作品の企画意図ははっきりしています。望まない続編を作らされる状況そのものを、作品にしてしまう。その姿勢は誠実であり、皮肉でもあります。
問題は、その自己言及が娯楽としての満足を犠牲にしていることです。アクションは旧作に及ばず、とくに格闘場面のカメラワークと編集は明らかに劣化しています。
旧作の映像を引用する構成も、比較を強いる結果になりました。並べて見せられれば、当然そちらのほうが良く見えます。
評価は難しい。批評としては読み応えがあり、映画としては物足りない。シリーズのファンほど複雑な気持ちになる作品です。
続編を作らされることについての、続編。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 2.9 |
| 映像美 | 3.7 |
| 音楽 | 3.5 |
| 演技 | 3.3 |
| 余韻 | 3.0 |
数字は2026年8月時点で確認できたものです。IMDbのスコアや公開中の作品の興行収入は、その後も変動します。
『マトリックス レボリューションズ』から18年ぶりのシリーズ第4作です。劇場公開と配信が同時に行われました。
続編制作をめぐる状況を作中で自己言及的に扱った構造が話題となりましたが、興行・評価ともに振るいませんでした。
各サービスで「マトリックス レザレクションズ」を検索した結果へ移動します。配信の有無はリンク先でご確認ください(配信状況は頻繁に変わるため、当サイトでは配信中かどうかの判定はしていません)。