AFFAIRS
インファナル・アフェア
『ディパーテッド』を先に観た人にこそ勧めたい一本です。同じ話なのに、まったく別の映画になっています。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- アンドリュー・ラウ、アラン・マック
- 出演
- トニー・レオン、アンディ・ラウ、アンソニー・ウォン、エリック・ツァン
- 製作国
- 香港
- 公開
- 2002年
- 備考
- 『ディパーテッド』(2006年)の原作にあたる作品
- ジャンル
- 犯罪/サスペンス
あらすじ(ネタバレなし)
香港警察には、マフィア組織から送り込まれた男がいました。優秀な警官として順調に出世し、内部の情報を組織へ流し続けています。
一方、マフィア組織の中にも、警察から潜入した男がいました。素行不良を理由に警察を追われたことにして、10年近く裏社会で生きてきた人物です。
ある取引の失敗をきっかけに、双方が「内通者がいる」と気づきます。相手を突き止めなければ自分が消される。二人はそれぞれ、鏡のような立場で、相手を探し始めます。
ここが見どころ
対称の構造
二人の男が完全に対称に配置されています。片方の場面が、もう片方の場面の意味を変えるという編集が全編で機能していて、脚本の設計として極めて美しい。
屋上の場面
映画史に残る対峙の場面です。台詞は多くないのに、二人がそれぞれ何を失ってきたかが全部乗っている。トニー・レオンとアンディ・ラウの立ち姿だけで持ちます。
香港という舞台
高層ビルとネオン、狭い路地。逃げ場のなさが街の構造としてあるのが効いています。ハリウッド版のボストンとは、緊張の質がまったく違う。
この映画について:警察に潜り込んだマフィアと、マフィアに潜り込んだ警官。
潜入捜査ものは数え切れないほどありますが、本作が抜けているのは「自分が何者なのか分からなくなる」という点に絞り込んだことです。銃撃戦は少なく、物語の大半は身元がばれるかどうかの緊張で進みます。
スコセッシによるリメイク『ディパーテッド』も優れた作品ですが、あちらは登場人物が多く、話が広い。本作は101分ほどで、無駄が一切ありません。削ぎ落とすことで到達した完成度という点では、原型のほうが上だと思います。
トニー・レオンの芝居が素晴らしく、10年間身分を偽り続けた人間の疲れが、姿勢と目つきに出ています。台詞で説明しない演技の見本のような仕事です。
難点があるとすれば、続編2作を含めた三部作全体で見ると構成が入り組んでいる点でしょうか。ただ、1作目だけで完結して観られます。
この作品の良さ
- 二人の男を対称に配置した脚本設計
- 屋上の対峙という、映画史に残る場面
- 101分に削ぎ落とした密度
- トニー・レオンの、説明しない芝居
当サイトの評価
警察に潜り込んだマフィアと、マフィアに潜り込んだ警官。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.7 |
| 映像美 | 4.4 |
| 音楽 | 4.2 |
| 演技 | 4.7 |
| 余韻 | 4.4 |
世間ではどう評価されているか
- 製作国
- 香港
- 公開
- 2002 年
- リメイク
- ディパーテッド 2006年・米アカデミー賞作品賞
2002年の香港映画で、香港映画金像奨で作品賞・監督賞・主演男優賞などを受賞しました。
2006年にマーティン・スコセッシが『ディパーテッド』としてリメイクし、そちらはアカデミー賞作品賞を受賞しています。当サイトでは『ディパーテッド』も収録しています。
こんな人におすすめ
- 『ディパーテッド』を観た人(比較が面白いです)
- 潜入捜査ものが好きな人
- 短い尺で密度の高い作品を求めている人
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