火垂るの墓GRAVE OF THE FIREFLIES
邦画1988年アニメ1980年代戦争

火垂るの墓

きつい映画として有名で、実際にきついです。それでも一度は観る価値があると考える理由と、注意点を書きます。

ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。

作品データ

原作
野坂昭如
脚本・監督
高畑勲
制作
スタジオジブリ
声の出演
辰己努、白石綾乃
上映時間
88分
公開
1988年4月

あらすじ(ネタバレなし)

「昭和20年9月21日夜、僕は死んだ」。物語は、駅の構内で衰弱死する少年の姿から始まります。

神戸大空襲で母を失った14歳の清太と4歳の妹・節子は、親戚の家に身を寄せますが、次第に居場所を失い、防空壕での二人きりの生活を選びます。食べ物は尽き、節子は少しずつ弱っていきます。

ここが見どころ

冒頭で結末を出す

主人公はすでに死んでいて、幽霊として自分たちの最後の数か月を見ています。助からないと最初から分かった状態で観るしかないという構造が、この映画の残酷さの正体です。

食べ物の描き方

ドロップ缶、白米、スイカ。飢えを描くために、食べ物が異様に美味しそうに描かれます。この落差が効きます。

清太を美化しない

兄は妹を守ろうとしますが、判断は何度も間違えます。被害者としてだけ描かないことが、この作品を単純な反戦映画にしていません。

この映画について:冒頭で結末を告げてから、そこへ向かって90分歩かせる。

反戦映画として紹介されますが、高畑勲監督自身は「これは反戦映画ではない」という趣旨のことを語っています。実際、描かれているのは戦争の善悪ではなく、社会から切り離された子どもがどうなるかという話です。

清太が親戚の家を出る判断は、感情としては理解できても、生存戦略としては明らかに間違っています。それを分かったうえで、映画は彼を責めもせず庇いもしない。この距離の取り方が容赦ないところです。

観るのに体力が要る作品なので、勧めるときは必ずそう言うようにしています。気持ちが弱っているときには絶対に向きません。ただ、作品としての完成度は疑いようがありません。

この作品の良さ

  • 結末を先に見せる構造の強度
  • 主人公を美化しない距離感
  • 飢えを描くための、食べ物の描写

当サイトの評価

4.7/5.0

冒頭で結末を告げてから、そこへ向かって90分歩かせる。

項目別の採点(5点満点)
項目点数
脚本4.7
映像美4.8
音楽4.5
演技4.5
余韻5.0

世間ではどう評価されているか

公開
1988 『となりのトトロ』と同時上映
IMDb
8.5 /10
評価
国際的 アニメーション史の代表作

『となりのトトロ』との2本立てで公開されました。明るい作品と並べられたことが、当時から語り草になっています。

海外での評価は極めて高く、アニメーションで描かれた戦争の記録として繰り返し言及されます。批評家のロジャー・イーバートが「もっとも力のある戦争映画のひとつ」と評したことでも知られます。

こんな人におすすめ

  • 体力のあるときに、重い作品と向き合いたい人
  • アニメーションの表現力を確かめたい人
  • 戦争を扱った作品に関心がある人

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