THE GODFATHER
洋画1972年ドラマ1970年代アメリカ

ゴッドファーザー

名前は知っているけれど観ていない、という人がいちばん多い映画かもしれません。3時間近くあるうえに古い。それでも一度は観る価値がある理由を、なるべく具体的に書きます。

ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。

作品データ

監督
フランシス・フォード・コッポラ
原作
マリオ・プーヅォ『ゴッドファーザー』
出演
マーロン・ブランド、アル・パチーノ、ジェームズ・カーン、ロバート・デュヴァル
音楽
ニーノ・ロータ
製作国
アメリカ
上映時間
175分
日本公開
1972年7月

あらすじ(ネタバレなし)

1945年、ニューヨーク。イタリア系移民のコルレオーネ家は、闇の世界で大きな影響力を持つ「ファミリー」でした。当主ヴィトー・コルレオーネは、暴力よりも義理と人情で人を動かす、静かな威圧感をまとった男です。

その末息子マイケルは、大学に進み、戦争で英雄となり、家業とは距離を置いて生きてきました。恋人ケイにも「あれは父の仕事で、僕の仕事じゃない」と言い切ります。ところがある日、父が街頭で銃撃され、生死の境をさまよう事態が起きる。

病院に駆けつけたマイケルは、そこで一つの選択をします。その選択が次の選択を呼び、家族を守るための行動が、いつのまにか彼自身を作り変えていく。物語は10年近い時間をかけて、静かに、しかし決定的に進みます。

ここが見どころ

冒頭の結婚式

27分にわたる長い結婚式のシーン。ここでファミリーの全員が紹介され、力関係も、それぞれの性格も、マイケルだけが輪の外にいることも、すべて提示されます。説明台詞をひとつも使わずに、3時間分の人物表を配り終えるという離れ業です。

レストランの数分間

物語の中盤、マイケルがある決断を実行に移す場面。台詞はほとんどなく、聞こえるのは店の外を走る電車の音だけ。彼の呼吸と表情だけで緊張が積み上がっていきます。映画の演出として何度も引用される名場面です。

ニーノ・ロータの音楽

あのトランペットのテーマ。哀愁があって美しいのに、流れるたびに何か取り返しのつかないことが起きる。音楽が物語の判定を下しているような使い方をしています。

断れない条件を出してやる。

ドン・ヴィトー・コルレオーネ(劇中の台詞より)

この映画について:マフィア映画ではなく、家業を継いでしまった次男の話。

この映画をマフィア映画として観ると、たぶん退屈します。銃撃戦は少ないし、抗争の経緯は淡々としている。実際に描かれているのは、継ぐつもりのなかった次男が、家業を継いでしまうまでの過程です。その意味では、家族経営の会社を舞台にした話としても読めます。

うまいのは、マイケルが変わっていく瞬間をはっきり見せないことです。決定的な場面はあるのに、そこで彼が「変わった」とは描かれない。気がついたときには、序盤で恋人に語っていた男とは別人になっている。3時間という長さは、この変化を観客に納得させるために必要な時間なのだと思います。

映像も特筆すべきで、室内は徹底して暗く、顔の上半分に影が落ちる。逆に外の場面は明るく開けている。この対比が、家の中と外の世界のちがいをそのまま画にしています。50年以上前の映画とは思えない完成度です。

気になる点としては、女性の描き方がかなり時代的で、妻や娘は基本的に事情を知らされない側に置かれ続けます。当時の世界を写し取った結果でもあるのですが、現在の目で観ると引っかかるはずです。あと単純に、序盤の人物の多さで一度は混乱します。

この作品の良さ

  • 説明せずに変化を見せ切る、脚本と演出の完成度
  • 冒頭27分で全人物を配り終える構成の巧みさ
  • ゴードン・ウィリスの照明。暗さそのものが意味を持っている
  • アル・パチーノの、目つきだけで別人になっていく芝居

当サイトの評価

4.9/5.0

マフィア映画ではなく、家業を継いでしまった次男の話。

項目別の採点(5点満点)
項目点数
脚本5.0
映像美4.9
音楽5.0
演技5.0
余韻4.8

世間ではどう評価されているか

IMDb
9.2 /10・Top250で上位常連
米アカデミー賞
3冠 作品賞・主演男優賞・脚色賞
公開年
1972 全米興行収入1位

第45回アカデミー賞で作品賞・主演男優賞・脚色賞の3部門を受賞。マーロン・ブランドが受賞を拒否したことでも話題になりました。公開年の全米興行収入1位でもあり、批評と興行の両方を制した作品です。

以後、映画史のオールタイムベスト企画では必ずと言っていいほど上位に入り続けています。「最高傑作」という評価がここまで動かない映画は珍しいと言っていいと思います。続編『PARTII』も高く評価されており、2作あわせて語られることが多い作品です。

こんな人におすすめ

  • 定番と言われる映画を一度きちんと押さえておきたい人
  • 組織の中で人が変わっていく話が好きな人
  • 長い映画でも、腰を据えて観る時間が取れる人

配信を探す

各サービスで「ゴッドファーザー」を検索した結果へ移動します。配信の有無はリンク先でご確認ください(配信状況は頻繁に変わるため、当サイトでは配信中かどうかの判定はしていません)。