カサブランカ
有名なフレーズだけ知っている、という人が多い作品です。通しで観ると、なぜあれらが名台詞になったのかが分かります。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- マイケル・カーティス
- 出演
- ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン、ポール・ヘンリード
- 上映時間
- 102分
- 公開
- 1942年(アメリカ)
あらすじ(ネタバレなし)
第二次世界大戦下、ドイツ占領下のフランス領モロッコ。中立地帯カサブランカには、アメリカへの脱出を望む人々が集まっていました。アメリカ人リックが営む酒場は、そうした人々の吹きだまりです。
ある夜、リックの前に、かつてパリで愛した女イルザが現れます。彼女は、ナチスに追われるレジスタンスの指導者の妻になっていました。二人がアメリカへ渡るには、リックが偶然手にした通行証が必要でした。
ここが見どころ
『ラ・マルセイエーズ』の合唱
酒場でドイツ兵が軍歌を歌い出したのに対し、客たちがフランス国歌を歌い返す数分。戦時中に、戦時中の話として撮られていることの重みが出ます。
回想のパリ
現在の乾いたやり取りの間に、たった一度だけ挟まれる過去の場面。ここが短いからこそ、二人の関係の説明がすべて済みます。
台詞の密度
「君の瞳に乾杯」をはじめ、引用され続けているフレーズが並びます。どれも気取った独立した名言ではなく、その場面の必然として出てくるのが上手さです。
この映画について:名台詞の見本市。しかも全部、その場面でしか成立しない。
恋愛映画として観ると、リックの選択が主題です。手に入れられたはずのものを、自分から手放す。それを感傷ではなく、渋い顔と短い台詞だけで見せる。
戦時中に作られたプロパガンダ的な性格もあり、その意味では単純な作品です。ただ、単純だからこそ、いまも通じている。脚本は撮影中も書き換えられ続け、結末は撮影終盤まで決まっていなかったと言われます。
難点は、女性側のイルザの造形が、二人の男の間で揺れる存在に留まっていることでしょうか。ここは時代的な限界だと思います。あと102分と短いぶん、脇役の描写は薄めです。
この作品の良さ
- 台詞が名言のためでなく、場面の必然として出てくる
- 国歌の合唱をはじめとする、戦時中の空気
- 102分と短く、テンポがいい
当サイトの評価
名台詞の見本市。しかも全部、その場面でしか成立しない。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 5.0 |
| 映像美 | 4.6 |
| 音楽 | 4.8 |
| 演技 | 4.9 |
| 余韻 | 4.8 |
世間ではどう評価されているか
- 米アカデミー賞
- 3冠 作品賞・監督賞・脚色賞
- IMDb
- 8.5 /10
- 評価
- 最高位 米国映画の代表作として常に上位
第16回アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚色賞を受賞しました。
アメリカ映画協会(AFI)による歴代ベスト企画では常に最上位に置かれ、引用された台詞の多さでは他の追随を許しません。
こんな人におすすめ
- 古典の恋愛映画を一本押さえたい人
- 台詞の切れ味を味わいたい人
- 有名なフレーズの出どころを知りたい人
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