ブレードランナー
「難解」「退屈」という感想も多い作品です。それでも勧める理由と、合わない人の見分け方を書きます。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- リドリー・スコット
- 原作
- フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
- 出演
- ハリソン・フォード、ルトガー・ハウアー、ショーン・ヤング
- 音楽
- ヴァンゲリス
- 上映時間
- 117分(ファイナル・カット)
- 日本公開
- 1982年7月
あらすじ(ネタバレなし)
2019年のロサンゼルス。酸性雨が降り続け、巨大な広告が空に浮かぶ街。人間そっくりに作られた人造人間「レプリカント」は、危険な労働のために使われ、地球への立ち入りを禁じられていました。
脱走したレプリカント4体を「解任」するため、元捜査官デッカードが呼び戻されます。追ううちに彼は、限られた寿命しか与えられていない彼らが、なぜ地球に戻ってきたのかを知ることになります。
ここが見どころ
街そのものが主役
雨、湯気、ネオン、多言語の看板、屋台。この美術がその後40年のSF映画の見た目を決めました。物語を追わずに街を眺めているだけでも成立します。
ヴァンゲリスの音楽
シンセサイザーによる音が、街の湿度と一体になっています。映像と音楽がここまで分かちがたい作品は多くありません。
終盤の独白
ルトガー・ハウアーが屋上で語る数十秒。俳優自身が台詞を書き換えたと言われる場面で、この映画の主題がここに集約されます。
この映画について:話は薄い。それでも、この街を見るためだけに観る価値がある。
正直に書くと、物語としては弱いです。捜査は淡々と進み、盛り上がりも少なく、主人公の内面もあまり描かれない。筋を追う映画として観ると、確実に退屈します。
それでも評価されているのは、この作品が「人間とは何か」という問いを、説明ではなく画と空気で提示しているからです。誰が本物かを見分けられない街で、寿命を持たない側と持つ側が入れ替わっていく。答えは出ません。
版が複数あるのも厄介なところで、劇場公開版にはナレーションと明るい結末が付いています。いま観るならファイナル・カットを選ぶのが一般的です。ここを間違えると印象がかなり変わります。
この作品の良さ
- 以降のSF映画の見た目を決めた美術
- ヴァンゲリスの音楽と映像の一体感
- 答えを出さずに問いだけを残す作り
当サイトの評価
話は薄い。それでも、この街を見るためだけに観る価値がある。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.2 |
| 映像美 | 5.0 |
| 音楽 | 5.0 |
| 演技 | 4.4 |
| 余韻 | 4.8 |
世間ではどう評価されているか
- IMDb
- 8.1 /10
- 公開時
- 不振 興行・批評とも振るわず
- 現在
- 定番 SF映画の必修作扱い
公開当時は興行的に失敗し、批評も芳しくありませんでした。評価が定まったのはビデオとテレビ放送を通じてで、時間をかけてカルト的な支持を得た典型例です。
サイバーパンクという美術様式は、事実上この作品が確立しました。2017年には続編『ブレードランナー 2049』が公開されています。
こんな人におすすめ
- 筋よりも雰囲気を浴びたい人
- SF美術の原点を確認したい人
- 静かな映画を集中して観られる時間がある人
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