自転車泥棒
89分で、事件らしい事件はひとつだけです。それでも観終わったあと長く残ります。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- ヴィットリオ・デ・シーカ
- 出演
- ランベルト・マジョラーニ、エンツォ・スタヨーラ(いずれも非職業俳優)
- 製作国
- イタリア
- 上映時間
- 89分
- 公開
- 1948年
あらすじ(ネタバレなし)
戦後の失業だらけのローマ。ようやくポスター貼りの職を得たアントニオですが、条件は自転車を持っていること。妻はシーツを質に入れて自転車を買い戻します。
しかし仕事の初日、その自転車が盗まれます。警察は取り合ってくれません。アントニオは幼い息子ブルーノを連れて、日曜のローマ中を探し回ります。
ここが見どころ
素人俳優を使う
主演は実際の工場労働者でした。演技の巧拙ではなく、身体と顔つきそのもので人物を成立させるという方針が徹底されています。
息子の視線
父の焦りと失敗を、少年がずっと見ています。この映画がつらいのは、父が息子の前で崩れていくからです。
この映画について:自転車を盗まれる。ただそれだけの話が、ここまで残る。
話は本当に単純です。自転車を探す、見つからない、それだけ。それでも持つのは、探すという行為を通じて社会の底が全部見えてくるからです。職安、教会の炊き出し、闇市、占い師。
ネオレアリズモと呼ばれる、戦後イタリアの映画運動を代表する一本です。セットを使わず街頭で撮り、職業俳優を使わない。その方法自体が、当時の映画のあり方への異議でした。
終盤の展開は、いま観ても直視するのがつらいです。救いはなく、ただ日常が続く。それでも冷たいだけの映画にならないのは、最後の数秒に理由があります。
この作品の良さ
- 単純な話から社会の全体が見えてくる構成
- 素人俳優を使った方針
- 父と息子の距離の描き方
当サイトの評価
自転車を盗まれる。ただそれだけの話が、ここまで残る。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.8 |
| 映像美 | 4.5 |
| 音楽 | 4.3 |
| 演技 | 4.9 |
| 余韻 | 5.0 |
世間ではどう評価されているか
- 米アカデミー賞
- 名誉賞 外国語映画部門の前身
- IMDb
- 8.3 /10
- 運動
- ネオレアリズモ 代表作
アカデミー賞で名誉賞(現在の国際長編映画賞の前身)を受賞しました。ネオレアリズモの代表作として、いまも映画史の必修作に数えられています。
こんな人におすすめ
- 社会を描いた映画に興味がある人
- 短くて重い一本を探している人
- 映画史の基本を押さえたい人
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