アマデウス
160分の音楽映画と聞くと構えますが、実際は嫉妬をめぐる非常に分かりやすいドラマです。クラシックの知識は要りません。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- ミロス・フォアマン
- 原作・脚本
- ピーター・シェーファー
- 出演
- F・マーリー・エイブラハム、トム・ハルス
- 上映時間
- 160分
- 日本公開
- 1985年2月
あらすじ(ネタバレなし)
老いた作曲家サリエリが、精神病院で神父に告解を始めます。「私がモーツァルトを殺した」。物語は彼の回想として進みます。
18世紀のウィーン。宮廷作曲家として尊敬を集めていたサリエリの前に、下品で子どもじみた振る舞いをする若者が現れます。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。その手から書き直しのない完璧な楽譜が生まれるのを見たとき、サリエリは自分の凡庸さを正確に理解してしまいます。
ここが見どころ
サリエリが楽譜を読む場面
モーツァルトの手稿を目で追いながら、音が頭の中で鳴り出す。音楽の凄さを、聴かせるだけでなく「理解する顔」で見せるという演出が見事です。
才能を分かってしまう苦しみ
サリエリを苦しめるのは、モーツァルトの音楽が本当に素晴らしいと分かることです。分からなければ嫉妬もしなかった。この設定が全編を貫きます。
終盤の口述筆記
衰弱したモーツァルトが『レクイエム』を口述し、サリエリが書き取る長い場面。憎んでいる相手の音楽を、自分の手で形にしていくという皮肉が最大化します。
この映画について:天才の話ではなく、天才を理解できてしまった凡人の話。
史実としては相当に脚色されており、サリエリが実際にモーツァルトを害したという記録はありません。これは伝記ではなく、才能と嫉妬についての創作だと理解して観るのが正しい向き合い方です。
その前提に立てば、脚本は非常に強い。凡人の側から天才を見るという視点の設定が完璧で、観客の大半は当然サリエリの側に立たされます。神への呪いという形を取っているのも効いています。
音楽の使い方も見事で、曲が場面の感情そのものになっています。160分と長いですが、後半に向かって加速するので体感はそこまでではありません。モーツァルトの造形が下品すぎるという批判はありますが、これも意図的なものだと思います。
この作品の良さ
- 凡人の視点から天才を描くという設定の強さ
- 音楽を「理解する顔」で見せる演出
- F・マーリー・エイブラハムの芝居
当サイトの評価
天才の話ではなく、天才を理解できてしまった凡人の話。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.8 |
| 映像美 | 4.7 |
| 音楽 | 5.0 |
| 演技 | 5.0 |
| 余韻 | 4.6 |
世間ではどう評価されているか
- 米アカデミー賞
- 8冠 作品賞・監督賞・主演男優賞ほか
- IMDb
- 8.4 /10
- 原作
- 舞台劇 ピーター・シェーファーの戯曲
数字は2026年8月時点で確認できたものです。IMDbのスコアや公開中の作品の興行収入は、その後も変動します。
第57回アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演男優賞を含む8部門を受賞しました。原作はピーター・シェーファーの同名戯曲です。
この作品の影響でサリエリが「モーツァルトを妬んだ凡人」というイメージで広く知られるようになりましたが、史実の彼は当時高く評価された作曲家であり、教育者としても優れていました。作品と史実は分けて受け取る必要があります。
こんな人におすすめ
- 嫉妬を描いたドラマが好きな人
- クラシック音楽に興味がある人
- 長い映画をじっくり観たい人
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