EVERYWHEREALL AT ONCE
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
コインランドリーを営む移民女性が、並行世界の自分の能力を借りて戦う。悪ふざけの密度と、母娘の話の真面目さが同居する。
何も説明されません。それでも、観終わったあとに分かります。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
1990年代後半、トルコの安いリゾート。11歳のソフィは、父カラムと二人で夏休みを過ごしています。両親は既に別れており、父と会えるのは久しぶりです。
プールで泳ぎ、ビリヤードをし、カラオケに出る。ビデオカメラで互いを撮り合いながら、二人は数日を過ごします。
父はまだ30歳を少し過ぎたばかりです。ソフィには見えていない何かを、彼は抱えていました。
当時撮影された映像と、現在の視点が混ざります。記憶とは何かという問題が、形式そのものになっています。
父の苦しみは、直接描かれません。鏡越し、画面の端、暗闇の中。すべて娘に見えなかった位置に置かれます。
ストロボの明滅の中で交わされる数秒。この作品が何を語っていたかが、ここで一気に分かります。
起きた出来事は最後まで明言されません。それでも観客が理解できるのは、記憶の断片の置き方が正確だからです。
ポール・メスカルはこの作品でアカデミー主演男優賞にノミネートされました。感情を見せない演技が非常に良い。
難点は、物語の起伏がまったくないこと。何も起きない休暇の映像が延々と続きます。
父と過ごした最後の夏を、20年後に思い出す。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.4 |
| 映像美 | 4.6 |
| 音楽 | 4.5 |
| 演技 | 4.8 |
| 余韻 | 5.0 |
2022年のカンヌ国際映画祭批評家週間に出品され、国際的に高い評価を受けました。
シャーロット・ウェルズの長編監督デビュー作です。
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