

その手に触れるまで
83分と短く、そして息苦しい作品です。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督・脚本
- ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
- 出演
- イディル・ベン・アディ、オリヴィエ・ボノー、ミリエム・アケディウ
- 上映時間
- 83分
- 製作国
- ベルギー・フランス
- 日本公開
- 2020年
- 受賞
- カンヌ国際映画祭 監督賞
あらすじ(ネタバレなし)
ベルギーに暮らす13歳のアメッドは、少し前まで普通の少年でした。ゲームが好きで、学校にも通っていました。
しかし地元のモスクの導師に傾倒するようになってから、彼は変わります。母に酒をやめろと迫り、女性教師と握手することを拒むようになりました。
やがて彼は、その教師を「背教者」とみなします。そして、ある行動に出ます。少年院に収容された後も、彼の考えは変わりません。
ここが見どころ
説明しない構成
なぜ彼がそうなったのかは説明されません。家庭にも学校にも、決定的な原因は示されない。この不在が本作の核です。
手持ちカメラ
ダルデンヌ兄弟の一貫した手法で、少年の背中を追い続けます。観客は常に彼の後ろにいて、顔がよく見えない。
83分という尺
余計な場面が一つもありません。始まってすぐ状況に放り込まれ、決着がつかないまま終わります。
この映画について:13歳の少年が、過激な教えに染まっていく。
ダルデンヌ兄弟は、社会の周縁にいる人物を突き放して描き続けてきた作り手です。本作でも、少年を理解しようとする素振りすら見せません。
この距離の取り方には批判もありました。過激化の原因を掘り下げないことが、無責任だという指摘です。ただ私は、簡単な原因を提示するほうが危ういと考えます。
タイトルにある「触れる」という行為が、終盤で決定的な意味を持ちます。宗教的な理由で拒んでいた接触が、別の形で起きる。ここは見事です。
答えは出ません。少年が変わったのかどうかも分かりません。すっきりしたい人には全く向かない作品です。
この作品の良さ
- 原因を説明しない構成
- 背中を追い続ける手持ちカメラ
- 83分に絞った密度
- タイトルが終盤で意味を持つ設計
当サイトの評価
13歳の少年が、過激な教えに染まっていく。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.3 |
| 映像美 | 4.0 |
| 音楽 | 3.8 |
| 演技 | 4.4 |
| 余韻 | 4.4 |
世間ではどう評価されているか
- カンヌ
- 監督賞 2019年
- 上映時間
- 83 分
- 製作国
- ベルギー ・フランス
数字は2026年8月時点で確認できたものです。IMDbのスコアや公開中の作品の興行収入は、その後も変動します。
2019年のカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞し、日本では2020年に公開されました。
過激化の原因を説明しない構成については、公開時から議論があります。
こんな人におすすめ
- ダルデンヌ兄弟の作品が好きな人
- 答えの出ない作品に耐えられる人
- 短い尺で密度の高い映画を求めている人
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