KNIGHT RISES
ダークナイト ライジング
ノーラン版バットマンの完結編。前作の完成度には及ばないが、8年後という時間設定と、立ち上がり直す話としての構成は真っ当。
007シリーズは20本以上ありますが、映画として一本だけ選ぶならこれになると思います。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
任務中の事故により、ジェームズ・ボンドは死亡したものとされます。生き延びた彼は身を隠し、酒に浸る日々を送っていました。
その頃、MI6の本部が爆破されます。世界中の潜入諜報員の情報が流出し、上司であるMの立場も危うくなっていました。ボンドは復帰しますが、身体も判断力も以前の水準にはありません。
背後にいたのは、かつてMI6に所属していたシルヴァという男でした。彼が抱えていたのは組織への、そしてMへの個人的な恨みです。ボンドは彼を迎え撃つため、自分の生まれた場所へ戻ることになります。
ネオンサインのガラス越しに影だけで戦うシークエンス。ロジャー・ディーキンスの撮影が、アクション映画の水準を一段引き上げた場面として語り継がれています。
初登場の長回しがまず見事です。世界征服を企てるのではなく、個人的な恨みだけで動く敵という設定が、シリーズの中では珍しい。
ボンドは射撃も体力も落ちており、それが繰り返し示されます。組織の側も時代遅れと言われる。スパイという職業が古びていく話として作られています。
007シリーズを娯楽として観るなら、もっと派手な作品はあります。本作の価値は、アクション映画の枠で、老いと引き継ぎというテーマを扱った点にあります。50周年という区切りで過去を掘り返すという企画が、内容と一致している。
サム・メンデスは元々舞台と人間ドラマの人で、アクション演出の専門家ではありません。それがむしろ良い方向に働いていて、見せ場の合間にある会話が退屈しない。
撮影については、繰り返しになりますがロジャー・ディーキンスの仕事が突出しています。上海、マカオ、スコットランドの荒野。どの場面も光の設計が明確で、絵葉書的にならない。
終盤の展開は、シリーズの定型からするとかなり異質です。派手なガジェットも巨大な秘密基地も出てきません。この地味さを物足りないと感じる人はいるはずですが、私は主題に沿った正しい選択だと思います。
シリーズ50周年に、ボンドの過去を掘り返す。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.1 |
| 映像美 | 4.8 |
| 音楽 | 4.6 |
| 演技 | 4.5 |
| 余韻 | 4.2 |
数字は2026年8月時点で確認できたものです。IMDbのスコアや公開中の作品の興行収入は、その後も変動します。
第85回アカデミー賞で歌曲賞・音響編集賞を受賞しました。撮影賞にもノミネートされています。
007シリーズ50周年にあたる作品で、シリーズとして初めて世界興行収入10億ドルを突破しました。
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