IN THE RAIN
雨に唄えば
ミュージカルは苦手、という人にこそ勧めたい一本です。歌と踊りが物語を止めず、むしろ話を進める道具として使われています。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン
- 出演
- ジーン・ケリー、デビー・レイノルズ、ドナルド・オコナー、ジーン・ヘイゲン
- 上映時間
- 103分
- 公開
- 1952年(アメリカ)
あらすじ(ネタバレなし)
1927年のハリウッド。サイレント映画の大スターであるドンとリナのコンビは、絶大な人気を誇っていました。しかし『ジャズ・シンガー』の登場で音声付き映画の時代が始まり、撮影所は大混乱に陥ります。
問題は、リナの声がひどく耳障りだったことです。トーキー版の公開を控えて追い詰められた一同は、新人女優キャシーの声を裏で吹き替えるという苦肉の策を思いつきます。
ここが見どころ
録音の悪戦苦闘
マイクをどこに隠すか、衣装の擦れる音をどうするか。トーキー移行期の現場の混乱を、そのまま笑いにしている場面が全編でいちばん面白い部分です。
『メイク・エム・ラフ』
ドナルド・オコナーが壁を走り、宙返りをし続ける独演。CGも編集のごまかしもない身体だけの芸で、いま観ても信じがたい。
雨の中のダンス
有名なタイトル曲の場面。物語上は「恋がうまくいって嬉しい」というだけなのですが、それを4分間の踊りだけで表現しきってしまいます。
この映画について:映画が声を持った時代を、映画自身が笑い飛ばす。
古いミュージカルというと構えますが、この作品はまず単純にコメディとして面白いです。撮影所の内幕もの、業界の裏側もの、として非常によくできていて、歌がなくても成立します。
そのうえで、歌と踊りが物語を止めません。楽しいから踊る、うまくいったから踊る、と理由が明快で、感情の高まりがそのまま身体の動きになる。ミュージカルが苦手な人が引っかかる「なぜ急に歌い出すのか」という壁が、この映画にはほとんどありません。
103分と短く、テンポも速い。難点は、中盤の長い夢のダンスシーンが物語を止めることくらいでしょうか。あとは古典であることを差し引いても、驚くほど古びていません。
この作品の良さ
- コメディとして単純に面白い
- 歌と踊りが物語を止めない構成
- 身体だけで見せるダンスの水準の高さ
当サイトの評価
映画が声を持った時代を、映画自身が笑い飛ばす。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.4 |
| 映像美 | 4.7 |
| 音楽 | 5.0 |
| 演技 | 4.7 |
| 余韻 | 4.5 |
世間ではどう評価されているか
- IMDb
- 8.3 /10
- 公開時
- 中程度 評価は後から上がった
- 現在
- 最高峰 ミュージカル映画の代表作
公開当時はヒットしたものの、特別に高い評価を受けたわけではありませんでした。評価が固まったのは後年で、現在ではミュージカル映画の最高峰として扱われています。
映画史のオールタイムベスト企画でも常に上位に入り、「映画についての映画」としても繰り返し参照される一本です。
こんな人におすすめ
- ミュージカルが苦手だと思っている人
- 映画の歴史に興味がある人
- 明るい気分になれる1本を探している人
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