

竜とそばかすの姫
良いところと問題のあるところが、これほどはっきり分かれる作品も珍しいと思います。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督・原作・脚本
- 細田守
- 声の出演
- 中村佳穂、成田凌、玉城ティナ、役所広司
- 製作
- スタジオ地図
- 製作国
- 日本
- 公開
- 2021年
- 興行収入
- 66.0億円
あらすじ(ネタバレなし)
高知の田舎町に暮らす女子高生・すずは、幼い頃に母を事故で亡くしてから、人前で歌えなくなっていました。父との関係もぎこちないままです。
友人に勧められ、彼女は「U」という仮想空間に登録します。そこで「ベル」という姿を得た彼女は、なぜか歌うことができました。歌は瞬く間に世界中へ広がります。
そのコンサートを妨害したのが、「竜」と呼ばれる正体不明の存在でした。忌み嫌われる彼に、すずは何かを感じ取ります。竜の正体を探るうち、彼女は現実の側の問題に直面していきます。
ここが見どころ
「U」の映像設計
50億人が集まる仮想空間を、圧倒的な物量で描いています。コンサートの場面の映像と音響は、劇場で観る価値が明確にあります。
中村佳穂の歌唱
主人公の歌を担当するミュージシャンの起用が決定的でした。歌が本当に上手いことが、物語の前提を成立させています。
高知の風景
仮想空間の派手さと対照的に、現実パートは実在の風景をもとにした静かな画です。この対比が作品の構造になっています。
この映画について:仮想空間で歌う少女と、正体不明の竜。
前半は非常に良く出来ています。歌えなくなった少女が、別の姿でなら歌える。仮想空間という設定が、主人公の状況と噛み合っている。音楽の力もあって、コンサートの場面は圧巻です。
問題は終盤です。竜の正体をめぐる展開で、現実の深刻な問題に主人公が単身で向かうという筋になります。この解決の描き方には、公開当時から強い批判がありました。私も無理があると思います。
細田守作品はしばしば、後半で問題を個人の勇気に還元してしまう傾向があります。本作はその傾向が最も強く出た例でしょう。
それでも、映像と音楽の達成は本物です。前半だけでも観る価値があるという、評価しづらいタイプの作品になっています。
この作品の良さ
- 仮想空間「U」の映像の物量
- 中村佳穂の歌唱が前提を成立させている
- 仮想と現実の画の対比
- 設定と主人公の状況の噛み合い
当サイトの評価
仮想空間で歌う少女と、正体不明の竜。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 3.4 |
| 映像美 | 4.7 |
| 音楽 | 4.6 |
| 演技 | 3.9 |
| 余韻 | 3.7 |
世間ではどう評価されているか
- 興行収入
- 66.0 億円
- 監督
- 細田守
- 公開
- 2021 年
数字は2026年8月時点で確認できたものです。IMDbのスコアや公開中の作品の興行収入は、その後も変動します。
興行収入66.0億円を記録し、細田守監督作品としては最高の成績となりました。カンヌ国際映画祭でも上映されています。
終盤の展開については公開当時から批判があり、評価が分かれた作品です。
こんな人におすすめ
- 音楽と映像を劇場で味わいたい人
- 細田守の作品を追っている人
- 終盤への批判を承知したうえで観られる人
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