耳をすませば
甘い青春ものとして紹介されがちですが、中身はかなり苦い自己評価の話です。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- 近藤喜文
- 脚本・絵コンテ
- 宮崎駿
- 原作
- 柊あおい
- 制作
- スタジオジブリ
- 声の出演
- 本名陽子、高橋一生、立花隆
- 上映時間
- 111分
- 公開
- 1995年7月
あらすじ(ネタバレなし)
中学3年の月島雫は、読書ばかりしている少女です。図書カードにいつも同じ名前が先に書かれていることに気づき、その人物に関心を持ちます。
やがて彼女は、その相手が同級生の天沢聖司であることを知ります。彼はヴァイオリン職人になるためイタリアへ行くという明確な目標を持っていました。何も持たない自分に焦った雫は、物語を書き始めます。
ここが見どころ
書けなさの描写
初めて小説を書き始めた雫が、思うように書けずに落ち込む過程が丁寧です。才能がないかもしれないという恐怖を、正面から扱っています。
『カントリー・ロード』
冒頭の訳詞づくりから、地下室での合奏まで。一曲が作品全体の骨格になっています。
この映画について:好きな人が先を走っている、という焦り。
恋愛の話に見えますが、実際は「自分にできることが何もない」という焦りの話です。聖司が明確な目標を持っているからこそ、雫は焦る。この構図が全部です。
書き上げた作品を読んでもらった後の雫の反応が、この映画のいちばん良いところです。うまくいかなかったことを、うまくいかなかったまま受け止める。
難点は、終盤の展開が唐突なことでしょうか。あそこだけ現実味が薄いという指摘は正当です。また、いま観ると進路をめぐる価値観に時代を感じます。
この作品の良さ
- 書けないことへの恐怖を正面から扱う
- 『カントリー・ロード』を骨格にした構成
- 多摩の街並みの描写
当サイトの評価
好きな人が先を走っている、という焦り。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.5 |
| 映像美 | 4.6 |
| 音楽 | 4.7 |
| 演技 | 4.4 |
| 余韻 | 4.8 |
世間ではどう評価されているか
- 国内興行収入
- 31.5 億円・1995年の邦画1位
- IMDb
- 7.8 /10
- 監督
- 近藤喜文 唯一の劇場長編作品
数字は2026年8月時点で確認できたものです。IMDbのスコアや公開中の作品の興行収入は、その後も変動します。
1995年の日本映画で興行収入1位を記録しました。監督の近藤喜文は宮崎駿・高畑勲の後継者と目されていましたが、この作品が唯一の劇場長編となりました(1998年に他界)。
こんな人におすすめ
- 青春ものが好きな人
- 創作をしている人
- ジブリ作品を一通り観たい人
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