OF THE RINGS
ロード・オブ・ザ・リング
3部作の1作目。CGだけに頼らず、実景・ミニチュア・特殊メイクを総動員して中つ国を成立させた。ファンタジー映画の基準を作った作品。
続編の評価が割れたせいで語りにくくなっていますが、1作目単体で見れば、いまも完成度の高い一本です。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
昼はプログラマー、夜はハッカーとして生きる青年ネオは、この世界には何かがおかしいという感覚を拭えずにいました。ある夜、彼はモーフィアスと名乗る男に呼び出されます。
示されたのは、いま生きている世界がすべて機械の作った仮想現実だという事実でした。現実の人類は培養槽に浮かべられ、機械のエネルギー源にされている。ネオは仮想世界の中で、そのルールを破る力を身につけていきます。
この手の映画で退屈になりがちな「世界の仕組みの説明」を、赤と青の薬、鏡、道場での組手といった画で見せる仕掛けに置き換えています。聞かされている感じがしません。
ワイヤーアクションの振付を香港から持ち込み、俳優に長期間の訓練をさせて撮っています。カットを細かく割らずに動きを見せる作りが、いま観ても気持ちいい。
時間を止めてカメラだけが回り込む、あの映像。単なる見せ場ではなく、「主人公が世界のルールから外れ始めた」ことの表現として置かれているのが上手いところです。
この映画の設計でいちばん賢いのは、哲学的な問いを、そのままアクションの動機に変換した点だと思います。世界が偽物だと知る→ならばルールを書き換えられる→だから飛べるし避けられる。理屈が強くなるほど、画が派手になる。
映像面の発明が語られがちですが、脚本も丁寧です。前半で提示したルール(電話、エージェント、痛みは現実に返る)を、後半で一つずつ使い切る。設定が飾りになっていないのが、いま観ても持つ理由です。
気になるのは中盤の説教くささと、終盤の「選ばれし者」の扱いです。ここは好みが分かれるところで、乗れないと一気に嘘くさく見えるはず。あと、緑がかった映像は好き嫌いが出ます。
この世界は偽物かもしれない、を娯楽アクションでやり切った。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.5 |
| 映像美 | 5.0 |
| 音楽 | 4.6 |
| 演技 | 4.2 |
| 余韻 | 4.5 |
数字は2026年8月時点で確認できたものです。IMDbのスコアや公開中の作品の興行収入は、その後も変動します。
第72回アカデミー賞で視覚効果賞・編集賞・録音賞・音響効果編集賞の4部門を受賞しました。大作が集まる年に、技術系の主要部門をまとめて制しています。
バレットタイムをはじめとする映像表現は、公開直後から大量に模倣されました。1999年という年を象徴する一本として語られることが多い作品です。
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