

最後の決闘裁判
リドリー・スコットの近年作では、突出して優れた一本だと思います。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- リドリー・スコット
- 脚本
- ニコール・ホロフセナー、ベン・アフレック、マット・デイモン
- 出演
- マット・デイモン、アダム・ドライバー、ジョディ・カマー、ベン・アフレック
- 製作国
- アメリカ・イギリス
- 日本公開
- 2021年
- 題材
- 14世紀フランスの決闘裁判
あらすじ(ネタバレなし)
14世紀のフランス。騎士ジャン・ド・カルージュは、従士ジャック・ル・グリと領地をめぐって対立していました。
遠征から戻ったカルージュは、妻マルグリットから、留守中にル・グリに乱暴されたと訴えられます。ル・グリは全面的に否定しました。
決着をつける手段として選ばれたのが、決闘裁判でした。神が正しい側を勝たせるという理屈です。もし夫が負ければ、偽証したとして妻も処刑されます。
ここが見どころ
三章構成
同じ期間を、夫・従士・妻の順に三度描きます。細部が少しずつ違い、その差が人物の自己認識を露わにします。
第三章の扱い
妻の章だけ、冒頭の字幕の一部が画面に残り続けます。どれが本当かを映画自身が示しているという設計です。
決闘の描写
終盤の決闘は長く、泥まみれで、まったく格好よくありません。英雄的な決着を拒んでいます。
この映画について:同じ出来事を、三人がそれぞれの言い分で語り直す。
『羅生門』的な構成を、性暴力の裁きに適用した作品です。三度繰り返すことで、加害の側がどのように自分を正当化するかが見えてきます。
夫の章では自分を高潔な男として、従士の章では相思相愛だったものとして語られます。同じ場面が、語り手によって別物になる。ここが精確で、しかも不愉快です。その不愉快さが目的でしょう。
妻を演じるジョディ・カマーが優れています。三つの章で微妙に演技を変え、他人から見た自分と、自分の実感の差を作っています。
興行的には振るわず、監督自身が若い観客層を批判する発言をして議論になりました。ただ作品の質は、その騒動とは無関係に高い。
この作品の良さ
- 三章構成による自己正当化の可視化
- ジョディ・カマーの演じ分け
- 英雄的にしない決闘の描写
- 中世の制度そのものへの視線
当サイトの評価
同じ出来事を、三人がそれぞれの言い分で語り直す。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.4 |
| 映像美 | 4.5 |
| 音楽 | 4.1 |
| 演技 | 4.6 |
| 余韻 | 4.4 |
世間ではどう評価されているか
- 題材
- 14 世紀フランスの決闘裁判
- 構成
- 3 章
- 日本公開
- 2021 年
数字は2026年8月時点で確認できたものです。IMDbのスコアや公開中の作品の興行収入は、その後も変動します。
14世紀フランスで実際に行われた決闘裁判を題材にした作品です。エリック・ジェイガーの著作を原作としています。
批評家からの評価は高い一方、興行成績は振るいませんでした。性暴力を扱っており、鑑賞にあたっては留意が必要です。
こんな人におすすめ
- 『羅生門』のような構成が好きな人
- 歴史劇が好きな人
- 重い題材に耐えられる人
配信を探す
各サービスで「最後の決闘裁判」を検索した結果へ移動します。配信の有無はリンク先でご確認ください(配信状況は頻繁に変わるため、当サイトでは配信中かどうかの判定はしていません)。

