GOOD BOY/グッド・ボーイ
企画を聞いた時点では一発ネタだろうと思っていました。観たら、最後まで持たせきっていて驚いた作品です。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督・脚本・製作
- ベン・レオンバーグ
- 主演
- インディ(犬)
- 製作国
- アメリカ
- 日本公開
- 2026年7月10日
- ジャンル
- ホラー
- 受賞
- SXSW最優秀犬演技賞、アストラ映画賞(動物俳優部門)
あらすじ(ネタバレなし)
犬のインディは、飼い主とともに田舎の実家へ移り住みます。古い家、広い庭、静かな夜。犬にとっては悪くない環境のはずでした。
しかしインディは、その家に何かがいることに気づきます。飼い主には見えていない、聞こえていない何か。犬の感覚だけがそれを捉えている。
やがて飼い主の様子がおかしくなっていきます。何が起きているのかを説明する手段を持たないインディは、それでも飼い主を守ろうと、自分にできる方法で抵抗を始めます。
ここが見どころ
視点を徹底したことの効果
カメラは終始、犬の目の高さにあります。人間の会話は断片的にしか入らず、状況説明はほとんどありません。「分からないまま怖い」という状態が、技術的に作られているのがこの映画の肝です。
説明できないもどかしさ
インディは危険を察知しているのに、それを伝える手段がない。吠えても飼い主には通じない。この伝わらなさそのものが恐怖の中心に置かれています。ホラーの構造として非常によく出来ています。
犬の演技
SXSWで最優秀犬演技賞という賞が贈られたのは冗談のようですが、実際に画面を持たせているのはこの犬です。表情ではなく、耳の動きと歩き方で緊張を伝えてきます。
この映画について:全編、犬の視点。犬にだけ見えているものがある。
一発ネタで終わりかねない企画を、最後まで成立させたのが立派です。鍵になっているのは、視点の制限を「不便」ではなく「武器」として使い切ったこと。人間なら確認しに行ける場所へ行けない、聞けば分かることが分からない。その制限が全部、緊張に変換されています。
低予算作品で、大きな仕掛けはありません。むしろ、家の中と庭というごく狭い範囲で完結しています。それでも間が持つのは、観客が犬と同じ情報量しか持てないからです。
犬が好きな人にとっては、恐怖より先に「この子が心配で仕方ない」という感情が来ます。これは作り手が完全に意図している部分でしょう。犬に何かあったらどうしよう、という気持ちを人質に取る作りです。そこを不快に感じる人もいると思います。
上映時間が短めなのも正解でした。この手法は長時間持つものではありません。作り手が自分の企画の限界を分かっている、という点でも信頼できます。
この作品の良さ
- 視点の制限を恐怖に変換した設計
- 「伝えられない」というもどかしさを核に据えた構造
- 犬の存在感だけで画面を持たせている
- 手法の限界を分かった上での適切な尺
当サイトの評価
全編、犬の視点。犬にだけ見えているものがある。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.1 |
| 映像美 | 4.3 |
| 音楽 | 4.0 |
| 演技 | 3.9 |
| 余韻 | 4.2 |
世間ではどう評価されているか
- SXSW
- 受賞 最優秀犬演技賞(2025年)
- アストラ映画賞
- 受賞 動物俳優 最優秀演技賞
- 日本公開
- 2026 年7月10日
2025年のSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト映画祭)で最優秀犬演技賞、2026年のアストラ映画賞ホラー/スリラー部門で動物俳優としての最優秀演技賞を受賞しています。
全編を犬の視点で撮るという手法が話題を呼んだ作品で、日本では2026年7月10日に公開されました。
こんな人におすすめ
- 変わった作りのホラーを観たい人
- 低予算でも工夫のある作品が好きな人
- 犬が好きな人(ただし心臓に悪いです)
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