ファイト・クラブ
有名なひねりのせいで語りにくい作品ですが、そこには触れずに書きます。むしろ、ひねりの後に何を描いているかが重要です。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督
- デヴィッド・フィンチャー
- 原作
- チャック・パラニューク
- 出演
- エドワード・ノートン、ブラッド・ピット、ヘレナ・ボナム・カーター
- 上映時間
- 139分
- 日本公開
- 1999年12月
あらすじ(ネタバレなし)
自動車会社でリコール査定の仕事をする「僕」は、不眠症に悩み、通販カタログの家具を買い集めることで空虚を埋めています。末期患者の自助グループに潜り込んで泣くことだけが、唯一眠れる方法でした。
出張の帰り、彼は石鹸を売る男タイラー・ダーデンと出会います。マンションが爆発で失われたことをきっかけに、二人は同居を始め、駐車場で殴り合う「ファイト・クラブ」を作ります。それは急速に広がり、やがて組織へと姿を変えていきます。
ここが見どころ
消費への皮肉
主人公の部屋が、通販カタログの商品名と価格の表示付きで映される。持ち物で自分を定義するという状態を、たった一場面で提示します。
映像の質感
全編に緑がかった暗さがあり、フィルムの汚れやコマ飛びまで演出に使われています。当時としては大胆なデジタル処理でした。
反抗の行き着く先
自由を求めて始まった集団が、制服を着て命令に従う組織になっていく。反抗が新しい支配になるという展開こそが、この映画の主題です。
この映画について:消費社会への反抗を描いて、その反抗自体を疑ってみせる。
公開から四半世紀経って、この作品はしばしば誤読されてきました。タイラーの思想を格好いいものとして受け取る読み方です。しかし映画自体は、その思想が行き着く先を明確に否定的に描いています。
つまり、主人公が惹かれるものを観客にも一度惹かれさせたうえで、それを解体する構造になっている。この二段構えを最後まで維持しているのが上手いところです。
難点は、その構造が伝わりにくいこと。そして女性登場人物がほぼ一人で、扱いも十分とは言えないことです。暴力描写も強く、人は選びます。ただ、1999年という時代を語るうえで外せない一本だと思います。
この作品の良さ
- 反抗が支配に変わる過程を描く構成
- 映像の質感と編集
- 冒頭の消費社会の提示の鮮やかさ
当サイトの評価
消費社会への反抗を描いて、その反抗自体を疑ってみせる。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.8 |
| 映像美 | 4.7 |
| 音楽 | 4.6 |
| 演技 | 4.7 |
| 余韻 | 4.6 |
世間ではどう評価されているか
- IMDb
- 8.8 /10
- 公開時
- 不振 興行・批評とも振るわず
- 現在
- 定番 DVD以降に評価が反転
公開時の興行と批評はいずれも振るいませんでした。評価が反転したのはDVDの普及以降で、時間をかけて支持を得た典型例です。
作品の主題が広く誤読されてきた例としても語られます。監督のデヴィッド・フィンチャー自身が、その受け取られ方について繰り返し言及しています。
こんな人におすすめ
- 1990年代末の空気を知りたい人
- 構造で裏切る映画が好きな人
- 暴力描写に耐えられる人
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