FIGHT CLUB
洋画1999年ドラマ1990年代フィンチャー

ファイト・クラブ

有名なひねりのせいで語りにくい作品ですが、そこには触れずに書きます。むしろ、ひねりの後に何を描いているかが重要です。

ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。

作品データ

監督
デヴィッド・フィンチャー
原作
チャック・パラニューク
出演
エドワード・ノートン、ブラッド・ピット、ヘレナ・ボナム・カーター
上映時間
139分
日本公開
1999年12月

あらすじ(ネタバレなし)

自動車会社でリコール査定の仕事をする「僕」は、不眠症に悩み、通販カタログの家具を買い集めることで空虚を埋めています。末期患者の自助グループに潜り込んで泣くことだけが、唯一眠れる方法でした。

出張の帰り、彼は石鹸を売る男タイラー・ダーデンと出会います。マンションが爆発で失われたことをきっかけに、二人は同居を始め、駐車場で殴り合う「ファイト・クラブ」を作ります。それは急速に広がり、やがて組織へと姿を変えていきます。

ここが見どころ

消費への皮肉

主人公の部屋が、通販カタログの商品名と価格の表示付きで映される。持ち物で自分を定義するという状態を、たった一場面で提示します。

映像の質感

全編に緑がかった暗さがあり、フィルムの汚れやコマ飛びまで演出に使われています。当時としては大胆なデジタル処理でした。

反抗の行き着く先

自由を求めて始まった集団が、制服を着て命令に従う組織になっていく。反抗が新しい支配になるという展開こそが、この映画の主題です。

この映画について:消費社会への反抗を描いて、その反抗自体を疑ってみせる。

公開から四半世紀経って、この作品はしばしば誤読されてきました。タイラーの思想を格好いいものとして受け取る読み方です。しかし映画自体は、その思想が行き着く先を明確に否定的に描いています。

つまり、主人公が惹かれるものを観客にも一度惹かれさせたうえで、それを解体する構造になっている。この二段構えを最後まで維持しているのが上手いところです。

難点は、その構造が伝わりにくいこと。そして女性登場人物がほぼ一人で、扱いも十分とは言えないことです。暴力描写も強く、人は選びます。ただ、1999年という時代を語るうえで外せない一本だと思います。

この作品の良さ

  • 反抗が支配に変わる過程を描く構成
  • 映像の質感と編集
  • 冒頭の消費社会の提示の鮮やかさ

当サイトの評価

4.6/5.0

消費社会への反抗を描いて、その反抗自体を疑ってみせる。

項目別の採点(5点満点)
項目点数
脚本4.8
映像美4.7
音楽4.6
演技4.7
余韻4.6

世間ではどう評価されているか

IMDb
8.8 /10
公開時
不振 興行・批評とも振るわず
現在
定番 DVD以降に評価が反転

公開時の興行と批評はいずれも振るいませんでした。評価が反転したのはDVDの普及以降で、時間をかけて支持を得た典型例です。

作品の主題が広く誤読されてきた例としても語られます。監督のデヴィッド・フィンチャー自身が、その受け取られ方について繰り返し言及しています。

こんな人におすすめ

  • 1990年代末の空気を知りたい人
  • 構造で裏切る映画が好きな人
  • 暴力描写に耐えられる人

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