ダークナイト
アメコミ原作の映画が賞レースで真剣に扱われるようになった転換点です。いま観ても、この重さでこの規模の作品は多くありません。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督・脚本
- クリストファー・ノーラン
- 出演
- クリスチャン・ベール、ヒース・レジャー、アーロン・エッカート、ゲイリー・オールドマン
- 音楽
- ハンス・ジマー、ジェームズ・ニュートン・ハワード
- 上映時間
- 152分
- 日本公開
- 2008年8月
あらすじ(ネタバレなし)
ゴッサム・シティ。バットマンと警部ゴードン、そして新任の地方検事ハービー・デントの連携によって、街のマフィアは追い詰められつつありました。
そこに、金にも権力にも興味を持たない犯罪者ジョーカーが現れます。彼の目的は街を奪うことではなく、人が信じている秩序をこわして見せることでした。バットマンは、彼を止めるために自分がどこまでやっていいのかを問われ続けます。
ここが見どころ
ジョーカーに来歴を与えない
傷の理由を語るたびに話が変わり、本当の過去は最後まで分かりません。説明されないことで、災害のような存在になっている。ヒース・レジャーの芝居と合わせて、いまも基準になっています。
ハービー・デントの物語
実質的な主人公はバットマンではなくデントです。街が正しい方法で救われる可能性そのものが彼に託され、そこが崩れる。この構成が作品の核です。
IMAXの実景撮影
冒頭の銀行強盗をはじめ、複数の場面がIMAXカメラで撮られています。CGに頼らずビルを実際に使った撮影が、重さと痛さを画に出しています。
この映画について:ヒーロー映画ではなく、犯罪映画として作られている。
この映画をヒーローものとして観ると、たぶん物足りません。むしろマイケル・マンの犯罪映画に近い作りで、街全体を舞台にした組織対組織の話として組まれています。ヒーローは登場人物のひとりにすぎません。
軸にあるのは「正義の側はどこまでやっていいのか」という問いです。盗聴、司法取引、嘘。バットマンは何度もこの線を踏み越え、そのたびに代償を払う。答えを出さずに終わるので、後味は爽快ではありません。
難点は152分という長さと、終盤で問題が同時多発することです。船の場面など、テーマを言葉で説明しすぎているところもある。ただ、それでも同種の作品の中では突出した完成度だと思います。
この作品の良さ
- 来歴を与えないことで成立しているジョーカー像
- ヒーローではなく都市と司法を主題にした脚本
- IMAXの実景撮影による重量感
当サイトの評価
ヒーロー映画ではなく、犯罪映画として作られている。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.8 |
| 映像美 | 4.8 |
| 音楽 | 4.7 |
| 演技 | 5.0 |
| 余韻 | 4.7 |
世間ではどう評価されているか
- IMDb
- 9.0 /10
- 米アカデミー賞
- 2冠 助演男優賞・音響編集賞
- 助演男優賞
- 受賞 ヒース・レジャー(没後)
第81回アカデミー賞でヒース・レジャーが助演男優賞を受賞(本人は公開前に他界)、あわせて音響編集賞も獲得しました。作品賞にノミネートされなかったことが議論を呼び、翌年から作品賞の候補数が拡大されるきっかけのひとつになったとも言われます。
IMDbのユーザー投票では長年トップ5圏内に位置し続けており、アメコミ原作作品としては例外的な評価を保っています。
こんな人におすすめ
- 重い犯罪ドラマが好きな人
- ヒーローものに興味がなかった人
- 『ヒート』『インサイダー』が好きだった人
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