

コット、はじまりの夏
終わり方だけで、忘れられない映画になりました。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
作品データ
- 監督・脚本
- コルム・バレード
- 原作
- クレア・キーガン『Foster』
- 出演
- キャサリン・クリンチ、キャリー・クロウリー、アンドリュー・ベネット
- 製作国
- アイルランド
- 日本公開
- 2023年
- 受賞
- 米アカデミー賞 国際長編映画賞ノミネート
あらすじ(ネタバレなし)
1981年のアイルランド。9歳のコットは、子だくさんで貧しい家庭に育ち、家でも学校でも存在を無視されています。ほとんど口を利きません。
母の出産が近づき、彼女はひと夏のあいだ、遠い親戚の農場に預けられることになりました。
その家の夫婦は、彼女を丁寧に扱います。髪を梳き、話を聞き、名前を呼ぶ。彼女が初めて経験することばかりでした。ただ、この家にも語られない過去がありました。
ここが見どころ
少女の視点の徹底
カメラはほぼ彼女の高さに置かれます。大人の会話が断片的にしか聞こえないため、観客も彼女と同じだけしか分かりません。
アイルランド語
大部分がアイルランド語で話されます。この言語で撮られた作品として初めてアカデミー賞にノミネートされました。
最後の一言
ラストカットで起こることは書きません。それまでの90分がすべてそこに集約されます。
この映画について:口数の少ない少女が、ひと夏だけ他人の家に預けられる。
極めて静かな作品です。事件らしい事件はなく、農場の日常が淡々と続きます。
しかし細部が緻密です。井戸の水を汲む、牛を追う、服を仕立て直す。手をかけられるという経験が、具体的な行為の積み重ねとして示されます。
少女役のキャサリン・クリンチが素晴らしい。台詞がほとんどなく、表情の変化も小さいのに、内側で何が起きているかが分かります。
そして結末です。最後の十数秒で、それまで抑えられていたものが一気に溢れます。この設計のために全編があったと分かる作りで、忘れがたい。
この作品の良さ
- 少女の視点に徹したカメラ
- 日常の行為の積み重ねによる描写
- キャサリン・クリンチの演技
- 最後の十数秒に集約される構成
当サイトの評価
口数の少ない少女が、ひと夏だけ他人の家に預けられる。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 4.4 |
| 映像美 | 4.5 |
| 音楽 | 4.0 |
| 演技 | 4.6 |
| 余韻 | 4.7 |
世間ではどう評価されているか
- 米アカデミー賞
- ノミネート 国際長編映画賞
- 製作国
- アイルランド
- 日本公開
- 2023 年
数字は2026年8月時点で確認できたものです。IMDbのスコアや公開中の作品の興行収入は、その後も変動します。
アイルランド語で撮られた作品としては初めて、アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされました。
静かな構成と結末への評価が高く、各国で高い評価を得た作品です。
こんな人におすすめ
- 静かな作品が好きな人
- 子どもの視点で描かれた映画に関心がある人
- 余韻の残る結末を求めている人
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