映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城
1983年の名作のリメイク。原作が持っていた恐ろしさ——とくにバミューダ海域と海底人の設定——を薄めずに現代の映像で作り直している。
「かわいいキャラクターの映画」だと思って入ると、たぶん少し驚くことになります。それは原作がもともとそういう作品だからです。
ネタバレについて:この記事はネタバレなしで書いています。結末や物語の核心に触れる内容は載せていません。
ちいかわ、ハチワレ、うさぎたちは、報酬につられてある島へ向かうことになります。討伐の仕事です。彼らにとって、それは生活の手段でもあります。
島に着いた一行を待っていたのは、想像していたものとは違う光景でした。人魚にまつわる言い伝えと、その島に残されている痕跡。楽しい遠出のはずだったものが、少しずつ様子を変えていきます。
報酬と危険、そして知ってしまったことの重さ。彼らは自分たちにできる範囲で、この島の出来事に向き合うことになります。
原作『ちいかわ』は、かわいい絵柄の下に労働や危険や理不尽が常にある作品です。映画化にあたってそこを薄めるという選択もあったはずですが、本作はほとんど削っていません。
彼らが島へ行く理由は、正義でも冒険心でもなく報酬です。この身も蓋もない動機が最初に置かれることで、以降の展開の重さが決まります。
ちいかわはほとんど喋りません。感情は表情と動きで伝えるしかない。アニメーションとしてはむしろ難度の高い設計で、その処理がきちんとできています。
興行収入80億円超という数字を見ると、キャラクター人気で当たった作品に見えます。実際その要素は大きい。ただ、内容のほうも原作の性質を理解した映画化になっていて、そこは評価したいところです。
原作者のナガノが監修と脚本に入っているのが効いています。この作品の不穏さは、加減を間違えると単に怖いだけ、あるいは単に甘いだけになる。その配分が保たれているのは、作者本人が関わっているからでしょう。
映画としての弱点は、構成が原作エピソードの再構成である以上、起伏の作り方が連載の呼吸のままだという点です。劇場作品としての山場の設計は、やや平坦に感じました。
原作を知らない人が入れるかというと、キャラクターの関係や世界の約束事に説明がないため、少し置いていかれると思います。予習してから観たほうが確実に楽しめます。
かわいいだけでは終わらない、と知っている人向けの映画化。
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| 脚本 | 3.8 |
| 映像美 | 4.1 |
| 音楽 | 4.0 |
| 演技 | 3.9 |
| 余韻 | 4.1 |
数字は2026年8月時点で確認できたものです。IMDbのスコアや公開中の作品の興行収入は、その後も変動します。
2026年7月24日公開。初日だけで興行収入9.9億円、公開20日間で80.7億円・563万人動員という大ヒットを記録しました。本稿執筆時点でまだ公開中のため、数字はさらに伸びます。
原作はナガノによる漫画『ちいかわ』。映画化にあたっては原作者が監修と脚本を担当しています。
各サービスで「映画ちいかわ 人魚の島のひみつ」を検索した結果へ移動します。配信の有無はリンク先でご確認ください(配信状況は頻繁に変わるため、当サイトでは配信中かどうかの判定はしていません)。